「太平洋戦争」は無謀な戦争だったのか＠読書感想文

　昭和館の図書室で見て興味を覚えた。我が市の図書館でも所蔵しているので読んでみた。
　興味を覚えた理由は著者が米国人の歴史家であることだ。著者が日本人だったら読もうと思わなかった。
　読んでみたらつまらなかった。日本人による仮想戦記と大差ない内容だった。唯一安心したのは、あの時点で開戦するしかなかった事に理解してくれる米国人歴史家が居た事だけだ。

　本書の主張は特攻隊の早期採用を除き、その通りだと思う。ああすれば日本が勝てた、こうすれば日本が勝てた。いや、私が知りたかったのは、何故それが出来なかったのか？だ。本書の主張通りの戦略あるいは戦術を採るべきだと主張した日本人将校は大勢居たがそうはならなかった。

　たとえば潜水艦。あの頃の我が国は優れた潜水艦を多数保有していた。それをドイツのUボートがやったようにアメリカ軍の兵站輸送艦にやったら相当な脅威になったはずなのにそうしなかった。潜水艦の将校はそう主張したがそうならなかった。上層部は卑怯だとでも思ったのだろうか？

　私はそのような構造は未だに日本に存在していると確信している。同じような戦争が今起きたならば、再び同じような結果になるだろう。人脈派閥の力学がはびこり、合理的な思考による主張は前者により駆逐される。これが日本国内のあらゆる分野で行われている。驚くべき事には学術的分野ですら教授に睨まれたらたとえ正しいい事であろうともボツにされる。
　私はこのような事が未だに日本が西欧に勝てない理由だと思っている。