「怪物」は学校が舞台なのでブラバンの音が効果音で使われている。学校の放課後というと必ず鳴ってたあのブラバンの練習音。きっと誰もが思い出すそれを環境音として坂本龍一はうまく取り入れながら次第に不協和音の音楽と融合させ作っていた。さすがだな。「怪物」とは誰の心の中にもある得体の知れないもの。疑惑や劣等感や恐れのことを言うのだと思う。
個人個人の私生活の秘密やちょっとした思い違いの積み重ねが学校という集団組織の中でどんどん大きくなって巨大なモンスターになっていく様が絶妙に描かれている。
とくに校長先生(田中裕子)の闇はなかなかすごい・・
怪物を育んだのは誰という訳ではないのに誰もが加担している。いたいけな子どもの心とその傷つきやすさが一番怖い。
微に入り細に入り是枝監督の演出テクニックは冴えまくっていた。カンヌ映画祭で毎回絶賛されつづけているのがわかる気がする。
舞台は諏訪湖の近くで美しい(けど厳しい)場所。御神渡りで有名。森の鉄道跡は子どもたちのシェルターであり、生きづらい現実からのリセット(生まれ変わること)を願う彼らにとってスピリチュアルな存在を感じられる場所。
音楽室の奥の楽器置き場。休み時間のトイレ。転落したら死ぬかも知れぬ教室の窓。雨。火事。金魚鉢。
いじめや不登校経験者なら見ただけでも息苦しくなる。私もあの場所(学校)が苦手。不登校だった子どものために仕方なく何度も学校に行き先生方とお話しもしたが全く共感してもらえないやるせなさ・出口の見えぬ絶望感を思い出した。
ネタバレになるので結末のことは後日書くことにするが、映画の終わり方もさすが是枝監督だと思った。
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