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2023年06月15日05:57

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Last stand of Pennsy steam 2

機関車というと、サイズやパワー・出力とかばかり話題になりがちだが、、実は鉄道の基本は土木工事であり、線路があるから列車を走らせる事が出来て、線路次第で機関車のサイズやパワーも決まってしまう。日本の線路は残念ながら脆弱、、欧州の鉄道はメインラインの許容軸重が20トンから25トン位。米国の場合は30トンから35トンとかで、日本の東海道本線が17トンとかとは比較が出来ない。蒸気機関車の時代、スリップコントロールが出来る機構がなかったので、実用になるパワーは軸重次第だった。だが、もし17トンの軸重でD52(1800馬力くらい)の倍のパワーを出せる機関車が出来たとしても、倍の長さの列車を走らせる事は不可能だった。鉄道には列車有効長というのがあって、すれ違い出来る線路長とか列車を組む操車場の線路長とかで運行出来る列車の長さは決まってしまう。だから日本の機関車はパワーが無いとか嘆く必要は全く無いが、機関車技術が進化していたか停滞していたかは別問題になる。日本の場合は停滞していたと言わざるを得ないようだ、、

話はペンシーに戻って、、意地でデュプレックス機を開発し続けた理由は2つあると思う。
1.ワールドスタンダードと自負していた自社製の機関車の名誉を取り戻したいと言う願望。
2.迫って来るディーゼル機関車(総て機関車メーカーの製品)に対する自社開発能力を誇示したいという願望。
多分この辺がペンシーにとって後戻り出来ない追いつめられた状況だったのだろう。

戦中の1942年に、旅客用と貨物用のデュプレックスを出してきた。
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旅客用のT1型は軸配置2BB2で、めちゃくちゃ大きかったS1型を少々マトモにしたような機関車。10年誓う運用に就いていたが、スリッピーな機関車で運転者からは嫌われていたようだ。
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模型は韓国製のサンセット・モデル製品。ごく普通レベルの模型。

同時に出された貨物機Q2型は軸配置2BC2の5動軸機関車で、設計を借りて来たJ1型のライバルであり、どうしてもJ1型の性能を凌ぎたかった自社製機関車。
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出力テストプラントで8000馬力を計測し、5動軸機関車としては多分世界最高の出力を誇った。この機関車には電気式のスリップコントロール装置が組み込まれ、実用性を備えた機関車となったが、構造の複雑さからメンテナンスには時間も費用も多くかかり、最終的にはJ1型よりも早く廃車へと追い込まれた。

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模型はカツミ製のモデルをプロの模型師に半分以上作り直してもらったもの。カツミの模型は従台車が全く違うとか色々いい加減な部分があったし、模型として走らせるために台枠などが実物とは相当異なっていたのを、直線しか走らなくてもいいから実物に近く直してもらった。

1944年、ペンシーが最後に出して来た蒸気機関車はタービン方式のS2型だった。軸配置3D3で、ボールドウィン社製。他の鉄道会社も蒸機末期にタービン方式の蒸気機関車を施策しているが、蒸気タービンで発電して電気モーターで駆動するという方式だった。S2型はタービンによる直接駆動で、これは英国LMS鉄道のターボモーティブとかドイツの試作タービン機関車に似ている。いずれにせよ、この方が外観が蒸気機関車らしくてスチームファンには好ましく感じられるだろう。
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模型は最初ALCO/クマタ製のものを盛っていたが、どうも実物の密度の高さが無く満足出来なかった。
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そのうち、Challenger Importsの韓国製モデルが出て、そのマッシブさとディテールが実物の雰囲気を非常に良く再現していると感じて買ってしまった。
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このタービン駆動の機関車、発進時には相当な蒸気を消費するが、速度が30マイル時以上になると非常に少ない蒸気消費で運行する事が出来た。どの速度域に於いても同サイズのコンベンショナルな蒸気機関車よりも大きな牽引力を誇り、40マイル時以上では当時の6000馬力のディーゼル機関車よりも高性能だった。が、当然タービンのメンテナンスは非常にシビアで時間と金がかかり、1両だけの試作に終わったが、運転者は好意的に感じていたようだ。

機関車は走行性能だけでなく、メンテナンスコストや年間走行距離など、あらゆる角度から見ていく必要があり、複雑な機構が嫌われる理由も理解出来るが、国によって、というか鉄道会社の事情によって、どの辺に充填が置かれるかはある程度変わってくる。その辺が、世界中の鉄道を見比べる際の面白さだろう。
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