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2023年06月11日22:36

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映画「不思議の国の数学者」☆☆

2023年6月11日劇場鑑賞

数学という難解なテーマを音楽に乗せて理解させるという見せ方に感動した。
韓国における脱北者の厳しい扱いに驚いたのと同時に、受験勉強の厳しさは日本の比ではないとも感じました。

物語は、名門校に特待生として入学した主人公が用務員から数学の楽しみを教わり人生の羅針盤を得るという話です。

惜しいと思ったのは、クライマックスにある天才数学者の演説というか告発に対して悪役が結構自滅的にゲロって逃げるため、面白味に欠けると感じました。
ここは悪役がぐうの音も出ないような証拠を突きつけてギャフンと言わせるようなアイデアが必要ではないかと考えます。
それと、これは本筋とは関係ない蛇足ですが主人公にしてもヒロインの女の子にしても結構赤い口紅をさしているため、高校生としてどうかと思うのは若干違和感を覚えました。

北朝鮮の天才数学者が、自分の数学を軍事利用される現実が嫌で脱北した話や、北では好待遇を受けていたのに南に来たら普通の人扱い(何なら北出身ということで差別されている)でうっ憤を募らせた息子が、北が恋しいと軍事境界線を越えようとして殺される話等、後半に行くとハードな展開が待っていますが、前半の数学楽しい数学最高パートは見せ方も含め傑作だと考えます。

この学校は異常な受検至上主義で、全寮制なのに週末親元に帰り塾に通い学校の勉強もそれを前提に進めるため貧乏な特待生はどんどん置いてかれるという構図は、どこの高校にもありそうな話で嫌なもの観たなと思いました。

数学は正解を導き出す過程を楽しめるかどうかで数学を続けられるかどうか、数学者になれるかどうかが決まるという話なので、そもそも数学の先生と北朝鮮の天才数学者ではアプローチの仕方が全く違うという構図は、とても分かりやすく中盤の見せ場である数学のテストで先生の間違い(出題の意図を示さないと回答が変わる)を指摘するシーンに集約されます。

高校内の数学大会で不正を行い、金賞を取ろうと画策したヒロインの母親と数学の先生の話はもっと掘り下げても良かったような気がしますが、この映画では正解を導き出す過程を楽しめるかどうかという主題に対して、一つの正解に早くたどり着けるかどうかを競う競技では、そもそもアプローチの仕方が違うため、そこはあまり掘り下げなかったのではないかと感じました。
映画的には主人公が頑張り賞を獲るという話をクライマックスに持っていくのはアリだと思いましたが、そこは仕方ないです。
逆にこの映画のエピローグは、数学を愛する故にその最高峰へたどり着いたという意味で最高の終わり方だったと考えます。

数学を楽しいモノと感じたことが無い当方には、目から鱗がポロポロと落ちる傑作でした、お勧めです。
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