mixiユーザー(id:18419990)

2023年02月23日15:21

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遅考術@読書感想文

 最初に本書を手にとって面喰らった。学習参考書みたい。二色刷りでアンダーラインが予めふってある。対話形式でクイズ形式でもある。初心者用?だが侮ることなかれ。

 良書である。星5つ。

 前述の具合だから、少しでも読者のハードルを下げるように書かれている。少しでも多くの人に読んでもらいたいという熱意が感じられるし、私もそう思うから本日記で拡散する。

 私は科学的思考・論理的思考ができてるものだと思っていたが、本書を読んで全然足りなかった事を知った。
 例えば陰謀論、例えば似非科学、それらに接した時に「なんだか怪しいなあ」と思う事はできたが、それの何が間違っているのか、きちんと言葉で説明できなかった。

 詳しくは本書を読んで下さいだが、少しだけ内容に触れよう。思考には2種類ある。ひとつは直感、もうひとつは熟考。
 直感は人類が早くから入手した能力だ。人類が狩猟民族だったころ、獲物を前にしてモタモタしてたら獲物に逃げられる。だから直感の処理能力は高速だ。
 直感は現代人にとっても有用だ。だいたいの事は直感で処理して間違いない。例えばあなたがタクシー運転手で手を上げている人を見たら客だと判断して間違いない。これを「この人は別の理由で手を上げているのかも知れない」などと考えていたら客を拾いそびれる。
 いっぽう熟考は人類が直感よりも後に獲得した能力だという。脳を酷使するから処理能力は遅い。これが本書のタイトルの由来だ。
 本書では直感をオートモード、熟考をマニュアルモードと表現している。場合によっては脳もマニュアルモードに切り替えましょう、という書だ。
 エアコンにはオートとマニュアルがあるはず。オートだと暑いあるいは寒いでマニュアルモードに切り替える事もあるでしょう?

 遅考術、術というからたくさんの術が書かれている。私が特に印象に残ったのだけひとつ。反証不可能性。
 この薬を信じて飲めば効くよ、という主張だ。効けば主張が確定したことになるが、効かなかった場合は信じ方が足りなかったとされる。反証不可能なのだ。反証不可能な論法が間違っている事はお解りいただけるだろう。もしそうでなければ本書をぜひ読んでもらいたい。
 本当に良書である。陰謀論やカルト宗教にハマりたい人を止めることはたぶんできないが、そうでない人にはぜひ読んでもらいたい。
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