私が望んでいた書ではなかった。星3つ普通、読み物としては面白い。
副題の「『愚将』はいかにして生み出されたのか」に惹かれた。
予備知識はあった、インパール作戦という兵站を無視した無謀な作戦の指揮官であるという。牟田口廉也中将の悪口は様々なところで述べられている。そういうのには興味なかった。そのような個人攻撃に何の意味があるのか?問題はそのような人を何故指揮官にしてしまったのか?組織の問題だろう。
本書は結局、牟田口廉也中将を攻撃している。私が知りたかった事はあまり多くないが、いちおうあった。
牟田口中将は参謀本部の中枢のエリートだったのだが派閥の関係で現場に追いやられた。現場を知らないのだ。そういう人が現場を指揮したらああなる。もっとも現場を知らない人間が中枢に居るというのも問題だ。
加えてメンツや責任。牟田口中将の無謀な作戦に疑問を抱く人は多かったが否定した人は更迭されたりしている。やる気がない、根性がない等の消極的な態度だからだ。上官や大本営(つまり組織のトップ)は彼の作戦に認可を与えたのだから責任を彼のみに負わすべきではない。
そうした組織論的なのをもっと知りたかった。
ダグラス・マッカーサーはフィリピンで日本軍に敗北した。だがそれにより更迭されたりしていないか、されたのか知らないがその後活躍して終戦時に彼がどのような立場にあったのかは日本人であれば誰でも知るところだ。
当時の米軍と日本軍の組織のあり方の違いをもっと知りたい。個人的なふるまいとしても、これは参考になる事象だろう。
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