銀杏とファクス問題

　午前10時半、クルマで元上司（といっても直接同じ編集部にいたことはないので、年上の同僚）宅に向かった。今週、コツコツと銀杏を拾い、そのたびに洗って干しておいたのを持って。
　毎年変わらず、銀杏を届けている。そして、お礼を言われる。それだけの関係だとも言えるし、なんとなく親しみの情を示す淡い友情とも言える。もともと無愛想な人で、同じ電車に乗っていても会話はまず交わさない。私は普段から愛想のいい人間だが、彼のようなタイプが本来は好みだ。
　クルマで七里ヶ浜に向かいながら、お留守だったらいいな、と思う。前もって電話をして届けるか、平年のように宅配便で送ればいいわけなのだが、それにしては今日も爽やかな夏空過ぎた。134号線をドライブするには絶好だった。
　お宅に着いたら、やはりお留守だった。一筆箋にしたためた手紙と銀杏を紙袋に入れ、ドアノブに掛けてまた走り出した。頭の悪いガキがピンポンダッシュをするようなものだ。そう言えば小学校3年か4年の頃、阪神の藤本選手と島倉千代子が結婚後近所に住んでいて、どんな家なのかが興味あって探し訪ね、門にあったチャイムを押して一目散に逃げたことがあった。ああ、雀百まで踊り忘れず、なんてこった。
　ぐるっと鎌倉を回るようにクルマを走らせ、ブックオフに行ってみた。一冊だけ文庫本を買って店を出た。
　帰宅後しばらくして、ファクスが届いた。が、ファクスにインクリボンがなかったらしく、「保存されたデータがあります。インクリボンを替えよ」とディスプレイに表示された。
　既に使い終わったフィルムをほどき直して印字させたら、さっき訪ねた元上司の奥様からで、礼状だった。
　ここでひとつ、悩む。このファクス（＋子機の電話2つ）をどうするかだ。だんだんと電話の調子も悪くなり、しかしNTT電話はあまり使われなくなり、さらにファクスなんて年に2回か3回受信するだけになってきた。
　ファクス機を捨て電話機を買い替え。
　ファクス機を新たに買い直す。
　この2択だ、壊れかけたファクスのインクリボンをわざわざ買う気にならないから。
　
　夕方、図書館から予約本が準備出来た、というメール。ちゃんと読んだら、ただ今閉館中だが午後5時から7時まで、臨時窓口を設けて予約本の受け渡し可とあった。物は試しで行ってみるか。
　自転車で図書難へ行き、本を受け取った。買おうかどうか迷った新刊ゆえ、嬉しい。
　図書館本は返却するので助かるが、自室は本で溢れ返っている。古本屋が出来そうだ。しかし、笑っている場合ではなく、マジでそろそろ本を処分しないとゴミ屋敷だ。今年中に最低でも段ボール箱に５つか６つは読まない本を詰めて売りに行かねば。

　夜、ごはんを食べた直後、山中湖の友人から電話があった。不義理してるなぁ。