帰宅途中、歩道でカラスがハトを食べていた。通行人が多いがそのカラスは人を恐れず悠々と食事を愉しんでいて、むしろ通行人のほうがカラスを怖がっていた。いったんはそこを通り過ぎ駅の手前の横断歩道まで行くが、そのとき私の頭の中は疑問でいっぱいになっていた。
ふつうカラスは人を恐れるものだ。だから若い個体なのか?それとも苦労してゲットした獲物だから人の存在を度外視して夢中になっているのか?だとしたら、そのハトは狩ったのか?それとも車に跳ねられたりしたのをゲットしたのか?
とりあえず撮らなきゃ!横断歩道から引き返し、スマホのカメラを起動する。だが、画面は真っ黒のまま。スマホを再起動させても復活しない。そうこうしているうちにカラスはいなくなった。
ここからカラス目線で推測する。
人間ども俺を恐れている。こいつらは安全だ。ん?なんだか変な人間個体(私のことだ)がいるぞ?自分に興味を持っている。こいつは危険だ!
ん〜、いちおう彼に警戒心を抱かせないように距離をおいて一連の操作をしていたのだが、どうやら察知されてしまったようだ。老獪なカラスとお見受けする。
いちおう私はカラスオタクを名乗って良いと思うから冷静に考えたら疑問の多くは解消した。カラスは狩りは得意でない。だからきっと車に跳ねられるかしたハトだろう。オジロワシなどなら余裕な重量でもカラスには無理だから放置して飛び去ったのだろう。
そういえば人を恐れないように見えるカラスに好意を持って観察すると、とたんに挙動不審になって飛び去ってしまった経験はけっこうある。
なんだよ!オレおまいら好きなんだよ!仲良くしようよ!
カラスは賢い動物だ。だが敵意と好意を判別するほどの知能はないとみえる。いや判別できたとしても野生動物としては正解かもしれない。自分を注視する存在は敵とみなしたほうが安全だろう。
ふと自分はカラスと正反対の観点に立っている事に気づく。カラスが安全だと判断した自分を無視する存在、それが最悪だと思う。敵意も好意の裏返しと言えないだろうか?とりあえず自分を注視してくれている。松たか子はキムタクをはじめのうちは敵視するものだ(そういうドラマちゃんと観てないけど)。
こんな考えを持てる時代に生きていることが幸せだと思う。戦時ならどうだろうか?敵は殺さなければならない。中世なら?敵意を持つ者は確実に私を破滅に導くから、その前に排除するか忌避しなくてはならない。
私の願望に過ぎないのか判らないが、世界は進歩している。敵とか味方とかなくなっている、あるいはなくなる。古いマインドセットに囚われている者だけがテロとか大量殺人とかハラスメントを犯して敵を倒す事に躍起になっているのだ。
それはさておき、そろそろスマホ買い換えねば。
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