について書くと宣言してしまったので書かねばならぬが、いささか面倒臭い。なぜなら物凄く簡単な理屈だからだ。
「売る物がなければ買えないよね?」という理屈だ。だからアイオワで自動車を栽培する話になる。アメリカは日本に小麦を輸出できるからトヨタ車を輸入できるのだ。輸入と輸出は必ず均等する。
だったら貿易黒字とか赤字って何?ということになるのだが、通貨の存在が事をややこしくしている。本書(著者はカナダ人)では違う例えを使っていたが、やはり我々には日米で例えた方が解りやすかろう。
トヨタ車が爆売れする。そうするとトヨタ社には大量のドルが入る。トヨタはドルで何か買わなければならない。トヨタが小麦を買っても使いみちがないから別の物を買う。アメリカにある円を輸入するのだ。円を買えば円高になりアメ車が安くなる。そうすればアメ車を買いたいという日本人が増える。
ほんらい通貨の変動相場制というのは、そのようにして貿易収支を調整する機構だ。我が国が貿易黒字を保ったまま円安にしようというのは虫が良い話だ。FXにレバレッジかけてショートだロングだ、やっている連中がまた事をややこしくしている。
日本にドルがあっても、アメリカに円があっても、双方使いみちがない。貿易黒字とは使いみちのない通貨がダブついた現象にすぎない。
本書のこの章で述べている事を私なりに要約すると、貿易とは競争ではない。貿易とは店と客の関係だ。店と客に競争なんてない。
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