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2021年03月16日04:20

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アメリカで大人気のIPO「空箱」=SPAC;SECが注意喚起するほどヤバい投資

 日本以上のバブル懸念があるアメリカの株式市場。ここに新規上場(IPO)される特殊な株に、懸念が広がっている。SPAC(特別買収目的会社)のIPOである。

◎元大リーガーや元プロバスケの選手などが広告塔
 日本では上場が認められていないから、知名度は低いが、要するに何も無い器だけの「空箱」の会社である。それが新規上場されると投資家の購入が殺到し、巨大な資金が動く。
 そこに10日、アメリカ証券取引委員会(SEC)が個人投資家向けに異例の注意喚起を発表し、さらに警戒感を高めた。SPACの創設者や初期投資家には、投資会社や起業家に加え、元大リーガーなど著名人の名前も目立ち、個人マネーをひき付けていた。当局は過熱ぶりに警戒を強めているようだ。
 そうした中でスポーツ界では元大リーガーのアレックス・ロドリゲス氏(写真)や元プロバスケット選手のシャキール・オニール氏、さらには元下院議長のポール・ライアン氏、ウォール街の投資銀行家マイケル・クライン氏などなど……。こうした人たちが初期投資家などで広告塔になり、SPACに素人に近い個人投資家が群れる。

◎事業の実態は何も無く、有力ベンチャー企業との合併だけが目的
 ブームで、1年3カ月の間にSPAC474社は計1560億ドル(約17兆円)を調達した。ならすと、1カ月15社の計算だから、ほぼ毎日のように「空箱」IPOがある計算になる。
 SECが注意喚起したのは、SPACには何の事業の実態もないことだ。目的は、有力ベンチャー企業との合併だけだ。だから「空箱」なのだが、上場を通して市場から多額の資金を調達する。非上場のベンチャー企業は、抜け穴を通る形で上場されたSPACと合併すれば、無審査で上場できる。
 「空箱」は、ここで初めて実態を持った企業になるが、それが高収益を出す会社になるとは限らず、行き詰まることも少なくない。合併される企業には、「裏口上場」の側面もある。したがって情報開示に問題が多い。

◎詐欺めいたニコラの例も
 例えば悪名高い例に、燃料電池トラック(写真)の開発・販売をするという触れ込みで、テスラと共に一時株価が急騰した「ニコラ」がある。ニコラも上場SPACと合併し、上場企業になったが、その燃料電池トラックはインチキらしいことが露見し、株価は急落した(図)。
 空箱だけに、特に耳目を引きつける目的で、前述の例のように有名人を初期投資家に加えて宣伝する。
 そしてSPACの株を買う投資家は、未知だけれども、「素晴らしい」会社と合併し、アップルやテスラのような株になれば、大儲けできる、と群がる。そんな美味い話は、ほとんどないのに。
 未知のものに資金を投じるなど、バブル現象の典型例とも言える。

◎2年内に有力ベンチャーを買収しなければならないが
 もっともSPAC創業者も、闇雲に「空箱」を作るわけにはいかない。IPO後の24カ月以内に、上場時に調達した資金の80%以上を使って企業を買収しなければならない、という規制がある。もし24カ月以内に有望な未上場ベンチャーを買収できなかった場合、SPACは解散となり、利息をつけて投資家に資金を返却しなければいけない。
 ただ、それでもSPACへの投資が危うさを孕むのは、確かだ。
 「こんな危ういことがことが長続きするわけがない」。アメリカの金融業界では現在、こうした言葉が再びささやかれているそうだ。
 そうした中、日本のソフトバンクグループもナスダックにSPACを2社上場するとか。ソフトバンクグループほどの超大企業なら、失敗しても大したことはないだろうが、僕ならとうてい投資する気になれない。

注 容量制限をオーバーしているため、読者の皆様方にまことに申し訳ありませんが、本日記に写真を掲載できません。
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昨年の今日の日記:「原油市場も大混乱;サウジとロシアの減産交渉破談で1日に25%も暴落、狙いはアメリカのシェールオイル潰し」

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