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2021年02月19日01:19

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寒の戻りの夜に

2月18日(木曜)晴れ。
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いやあ、ゆんべの寒さにはたまげました。
布団に入ってタンスにもたれながら本を読んでたらカーテン越しにひどい冷気がヒューっと顔をなでていきます。
せっかく茨木のり子さんの詩集「歳月」を読みながら心を熱くして、半ばに差し掛かる頃にはウルウルっとしてしまったのに、どんどん部屋の温度が下がって、鼻先が冷たくなり、こめかみがじんじんしてきました。
風邪をひきそうになったので布団に深く潜り込んで灯を消して余韻に浸ることにしました。

ご主人が亡くなった後、茨木のり子さんは31年にもわたって最愛の夫・三浦安信氏への想いを40篇もの詩として密かに書き溜めていたのです、小さく「Y」と書かれた無印良品のクラフトボックスに入れて。
お子さんがいなかったせいか、ことのほか親しくされていた甥御さんにはその詩作品の存在を語っていたので、彼がなぜ新しい詩集として出版しないのかと尋ねたら、”一種のラブレターのようなものなので、ちょっと照れくさい”と答えたそうです。
それでも、出版される意思はあったようで、出版社のひとにも伝えていたらしいのですが、やはり生きている間は…とためらわれていらしたうちに突然亡くなられてしまったのでした。
そこで甥御さんの宮崎治氏が様々な問題をのりこえ、人々の応援にも支えられて、なんとか一周忌に間に合うようにと表題も決めて出版にこぎつけられたのです。
詩集「歳月」、挽歌というにふさわしくもあり、また、氏のあとがきの言葉には、敬愛する伯父伯母から授かった葛藤のなかでのゆるぎない生への信頼と、それに裏打ちされた死の受容への共感すら感じます。
”おそらくは下界の甥の心配などよそに、伯母は今頃、愛する夫との再会に大喜びで、いそいそと食事の支度でもしてるに違いない。秋も深まってきた今宵など、レシピを見に戻ってくる気配すらありや。”
ふと、我が愛するニノミヤさんの青春時代の言葉が思い出されました。
”死ぬということが、生きることの終わりになるのではない”

こういう夫婦の愛し愛されのかたちもあるんだなあ、と羨ましいような怖いような思いに沈み、相変わらず容赦なく吹き込んでくる冷気に反転したら、いつのまにか隣にヨメはんが寝入っていて、くうくう寝息をたてています。
あれ、起きてたはずがいつの間にか寝てたんだなあ、時計を見たらもう夜中の2時…
寝顔を見てたらこんな歌が思い浮かんできました。

Youre my funny valentine,
Sweet comic valentine,
You make me smile with my heart.
Your looks are laughable, un-photographable,
Yet, you’re my favorite work of art.



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