おばぁちゃん子

祖母（母の母）が一緒に住んでいて母は働いていたから僕はかなりの部分おばぁちゃん子だった。彼女は明治末生まれだから完全に明治の躾と教育を受けた人間だ。だから僕も多かれ少なかれ明治的な躾を受けたと言えるんだろう。彼女は（典型かどうかは判らないが）厳しく優しいばぁちゃんだった。日本がアジアのプロシアと呼ばれたのも判るような気がする、そういう人だった。彼女の夫は滿鉄社員で、昭和２０年８月１０日に駅長をしていたロシア国境の駅長官舎で自決した。という事が判ったのは同じ街に住んでいた知人がロシアに抑留されて居た際、同駅で働いていた滿人に会って聴いた話からで、死亡通知が届いたのは昭和３０年だ。ばぁちゃんは戦後１０年、帰らぬ夫を待っていた事になる、んだが、そういう事は死ぬまで一切口にしなかった。母が死んだ時に新宿区役所に戸籍謄本などを取りに行って初めて知った。ソ連が満州に侵攻したのは８月９日だった。このとき関東軍は何の作戦も無く、さっさと南方へと退転していき市民を置き去りにしたという、、

戦後７０年以上経った今、日本の国防や外交はいまだに米国の国防・外交の一部分でしかない。何も自分で決められない首相が米国の意図の元に拳を振りかざして「強い日本！」などというバカな演説をして国民に嘘をつき続けるのを見ると、悲しくなるよりも憤りを感じる。自分の娘（僕の母ですね）が女学校へ進学する際、○X女学校へ入れなかったらこれで刺すよと包丁を突きつけたという気の強いばぁちゃん、今の日本を知らずに済んでよかったかも、、