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2020年11月13日20:21

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金沢文庫称名寺へ

 ここ3日ほどは散歩、銀行、郵便局、本屋に行った以外はうちに引きこもり状態だったので、本日13日、奮起して、ちゃんとした外出をする。なにかにつけて「面倒くさい」という横着な人間が私は嫌いなのだが、自身、実のところは人生総体に対して「めんどくせー」という厭世的で鬱的な思いを常に持っているので、同族嫌悪なんだろう。
 今週の「遠征」は、京急金沢文庫駅から歩いて15分の名刹・称名寺。
 2018年の初頭、金沢文庫で開催の「運慶展」に行った。その時に撮った称名寺の写真をMacbookProの待受にしているほど、それはいい風景だった。伝え聞くに金沢文庫が建つ称名寺は「極楽浄土をイメージした世界観」で建立されたらしい。
 紅葉はどうだろう? まだ早いか、と思いつつ境内に入ったら、予想通り「三分咲き」程度だった。しかし、平日の正午なのに、結構人が多い。もっとも、ユニクロの店内に較べりゃ可愛いもので、人と人の距離は最低でも15メートルくらいだから、感染リスクは小さい。
 雲一つない青空、気温も気象予報と違っていて24度くらいありそうな暖かさだった。境内には水彩画のグループが、各人ばらばらに座って絵を描いている。ざっと見たところ、10数名。既にタイムアップが近づいているのか、皆さん8割くらい描き終わっていた。なんでこんなことが分かるのかと言うと、一人ひとりの絵描きさんの後ろに回って、絵を見較べていたから。絵を見て、実際の風景を見て、ふたたび絵を観るというのは、面白い。焦点が合わないまま風景をぼおっと見るより面白い。それぞれの人の感性、筆致、技量などなど、すべて違うわけで、しかも腕達者なグループのようだから、目の前に広がる景色の見方を教えてくれるガイドさんのような出来映えだ。
 一周回ったところで、自分と同世代とおぼしき女性の元へ行き、思い切って声を掛けてみた。
「もしイヤじゃなかったら、その絵を写真に撮らせていただきたいんですけど。あなたが映り込まないようにしますから」
 自分のような下手な者の絵でいいんですか? 
 未完成なのですが、いいんですか?
 と問われたので、「絵を見ているほうが現実の風景よりもリアルに感じるんです」と答えたら、OK!をもらった。絵を砂利路に置いてくれた。
 ホンネのホンネを言えば、写真に撮りたいのではなくて、その絵が欲しかった。
 いくら上手に写真に落とし込んだところで、それはただの写真でしかなく、絵ではないのだから。紙の質感、水彩絵の具の滲み、微妙なかすれ具合……。高給ブランドバッグの模造品がしょせん模造品でしかない、という以上の差がある。
 時間は自由に使えるのだから、せめて色鉛筆とお絵かき帳でもリュックに入れておけばよかった、という気持ちは、今日、こんなグループがいたからだ。
 本来、お寺に来たら本堂で手を合わせるなりして参拝するのが主であるが、今日は絵を見て風景を見ることを繰り返し、一応本堂に行きはしたものの「コロナの陽性者になりまんように」と(くだらない)お願いを5秒くらい想い浮かべただけ。
 お寺を出てから、最寄り駅の方角とは逆方向の八景島へと歩いた。
 1年で10日あるかないか、というくらいの散歩日和だった。
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