10日水曜日、横須賀線に乗った。
3月30日に横浜へ行って以来の公共交通機関利用。
JR横須賀駅で下車し、歩いて6〜7分の京急逸見駅へ。駅近くの老舗和菓子屋「あいざわ菓子舗」に寄って、大福やどら焼きや和菓子の「横須賀の梅」などを1個ずつ計5個買う。逸見駅から京急の普通に乗って県立大学前で降りた。
目指すは、昭和の町中華の味を守り続ける中華料理店だ。店主にしてコックの主人は私の友人で、横須賀生まれの横須賀育ちで今も横須賀という小泉一家と同じ。
店に着いた。腹減った。
土産物のお菓子を渡して、ちょっと言葉を交わす。
今日のランチメニューに「酢鶏」があった。以前も食べたことがあって、ここは酢豚と酢鶏が絶品だと昭和30年代に生まれ育った私は確信している。いずれも、絡みダレにケチャップは使用せず、黒酢と醤油ベースのタレだ。私の記憶ではケチャップが加わるようになったのは昭和40年代に入った頃だ(思い込みの可能性あり)。
他のお客さんもいたので、7分くらい待って「酢鶏」、自家製のザーサイ、ごはん、わかめスープが出てきた。
酢鶏の真ん中に缶詰のサクランボが1個、彩りに添えられている。これも昭和30年代のお約束ごとで、40年代半ばになるとサクランボはパイナップルに地位を奪われだした(私的環境に拠るものかもしれない)。
舌が焼けそうなほどに熱いタマネギをまず口に放り込む。外はカリッと焼けているのに中は半生なのでシャキシャキとした食感だ。次はタレが絡んだタケノコ。お酢の利いたタレが口の中いっぱいに広がる。「孤独のグルメ」の主人公になったような気分を味わいながら、いよいよ「鶏」だ。酢豚とほぼ同じタレが染み込んだカリカリの鶏からの美味しさは秀逸。タマネギも熱かったが、鶏肉はさらに熱い。全部を飲み込む前に白いごはんを口に入れ、ゆっくりと噛む。至福の時間。
食後、客が減ってきたところを見計らって、私と2つか3つ年上の主人と少しばかり話をした。世代がほぼ同じ、キング・クリムゾンが好きというのも同じ、貧乏というか金がないことをなんとも思っていないことが同じ、きれい好きな性格も同じなら、ロックな思考も同じ。
話し始めたとき、「アベノマスク」が届いた。
「お、俺は今日、アベノ改造マスクをしてきたんだよ」と私は嬉しそうにリュックから真黄色のマスクを取り出し、「似ても似つかないだろう」と自慢した。
「やるね」
「だよね」
帰りも同じコース。横須賀線上りが出たところだったので、海に面した「ヴェルニー公園」に行ってみる。
♪ トンネル抜ければ 海が見える
つい横山剣の歌を口ずさんでしまう。
英国のロックも好きだが、こぶしが利いた横山剣も割と好きだ。
私の自粛解除は横須賀の街から再起動した。
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