僕たちはいつかいつからかヒトによる幻想に支配されてきた。
昔の話だがセントサイモンという馬がいた。記念すべき21世紀の門出の世代を見た我々という集合体はまだ恐るべきを知らないのです。
初めての救世主がお生まれになった頃、羊飼いの飼い葉桶には、生まれた仔羊の為に祈りを捧げた。その羊の
母のに上等な草をあてがい、よい乳を子に与えたかったのだ。
セントサイモンの以後にネアルコや、ノーザンダンサーが地上に訪れた。
彼らは皆優れたもので、その価値でいえば宇宙人の乗り物
とも呼ばれる。
話は現代に戻る。
いまやサンデーサイレンス、ミスタープロスペクター 、ストームキャット、ディンヒル、ガリレオ、ダンジグと別の名が売れているが、それは一日の話。
セントサイモンの過ごした一日。
その間に大樹は枝葉のように分かれてそれらの名馬と名馬の父馬と母たちの土台を創り上げた。
ヒトにも抗う暴君セントサイモンは、その気性を和らげる為に過去の気性が荒い名馬が少しばかり柔和になった事例により厩舎に猫が導入されたが、セントサイモンはその猫に噛みつき殺してしまった。
世界中にサラブレッドはいるが、全米、日本、欧州、アラブ、香港や南半球におけるサラブレッドにおいて、セントサイモンの血が入ってないサラブレッドはいないとされている。
彼が何に苛立ちを覚えたかは知らないが、少なくとも一人の人間よりも価値がある計算が成り立つ。
紛れもなくそれは事実だ。
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