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2020年01月06日19:21

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「強健術」案内123

今回は、『体格改造法』に解説される「胸式呼吸法」について見ていきます。

(ハ)腹式の二呼吸で、空気を吐き出して仕舞って、腹部が凹くなりました時に、腰にあてた両手を、脇の下に持って来ます。(そうしますと両手の力は、肘から肩に伝わって、肋骨の拡張を、非常に援けます。)それと同時に腰をそり、胸を開きながら、空気を充分に吸い込みます。(前の腹式の時は、肺が下方へ膨張しましたが、今度の胸式では肺が横の方に膨張します。力の這入るるのは、両乳を結びつけた直線の方向であります。腹式では充分下の方に広げ、胸式では充分横の方へ広げるのであります。もし胸腹何れか一方であれば、肺の働きは不十分であります。もし両方同であると、二兎を逐うことになりまして、何れも不完全なるを免れませぬ。故に私は、腹胸式を交互にやりまして、どの場合でも精力の、集中主義を執って居るのです。(体格改造法 P.138〜139)

ここでは、胸式呼吸の原理が説明されています。前回見ました「腹式呼吸」では、「肺底が膨張し、横隔膜が圧下し」て肺が広がりますが、今回の「胸式呼吸」では「充分横の方へ広げる」ようにします。また、「腹式呼吸」では「臍の上部はくぼくなる様に」腰を丸めて行いましたが、「胸式呼吸」では「腰をそり」ながら行っている点も対照的です。

◎鼻と口とで息の吸い込み方
(二)十分出来るだけ、胸を開いて、空気を吸い込みましてら、其のままの形で、空気を鼻から、スーッと吐き出して、直ちに新しい勢いで、口から充分に吸い込みます(胸を開いて鼻から吸い込んだだけでは、すっかり吸い込むことが出来ませぬ。口から更に吸えるものです。処が引き続いて、口から吸い込みますと、其の鼻と口との働きの接合点が、多少窮屈であります。故に胸を稍すぼめ、空気を少し吐き出し、更に口から充分に吸い込むのです。Oxypathyを発明しました科学者Michal Faradayが、酸素の効用を力説したことを、読みました人は、私が飽くまでも、空気の量を多く吸収することに、努めて居る趣旨を、了得せらるるでありましょう。)

ここでは、「鼻」で息を吸い込み続いて「空気を鼻から、スーッと吐き出し」てから、「口」で更に目一杯空気を吸い込みます。この方法は前著『強い身体を造る法』の「腹胸式呼吸法」で初めて登場した方法ですが、そこではなぜ鼻と口の両方を使用するのか理由は語られていませんでした。
今回はその理由が「胸を開いて鼻から吸い込んだだけでは、すっかり吸い込むことが出来ませぬ。口から更に吸えるものです」と説明され、鼻呼吸と口呼吸の両方を用いて出来るだけ多くの空気を取り入れようとした工夫であることが判明します。
またここに出てくる「Oxypathy」と「科学者Michal Faraday」につきましては、このブログの8月6日連載分に詳しく解説しましたので参照して下さい。

(ホ)吸入其の極に達しましたとき、瞬時も呼吸を停止することなく、漸次に胸をすぼめながら。
(ヘ)口を細く結び、極めて、静かに、寛かに強く、糸の如く細く、長く、口より息を吹きながら、満肺の空気を出し終わります。)これはBoekmanのPneumauxe-torを使うのと、同じ働きを肺がすることになりますで、直接、肺活量を増加させる効果がりあます。)以上で胸式の二呼吸が終わります。

ここに登場する「BoekmanのPneumauxe-tor」につきましても、8月6日掲載の文章に解説してありますのでご覧下さい。

(ト)右の如く腹式で二呼吸、胸式で二呼吸、これを一回づつとして交互数回行いますと、それで内臓操練法の目的は、達せられるのであります。
 ここに注意すべきは、腹部の膨張しきったとき胸郭をすっかり広げて、更に空気を口から、充分に吸い込んだ時又徐々に空気を吐き出す間、吐き終わった時。共に無限の妙味があるものですから、徒に騒々しくやって、其の醍醐味を失うてはなりませぬ。

◎呼吸運動の時と回数
此の運動は夜寝た時と、朝起きる前、床の中で数回行えば、それで充分です。勿論必要のある者は、何回やっても構いません。一体イマまでの健康法は、どうも対象を病弱者に置いた向きがありますが、私は寧ろ、健康者が日常的持続的に、実効すべきを目的として、組織いたしましたのです。(体格改造法P.140〜141)

以上で、「腹胸式呼吸法」の解説は終わります。この方法は前々著『心身強健術』に初登場した「腹胸式呼吸法」及びそれを継承した前著の『強い身体を造る法』の呼吸法とほぼ同じであり、その解説がより詳細になったものと言うことが出来ます。

(写真は、旧肥田邸跡へと続く道より見上げた伊東市指定天然記念物「高見のシイの木」)
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