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2019年12月26日16:55

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不良少年還暦過ぎたら不良品

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午後3時、点滴が終わったので、病院着の上から前開きのセーターとズボンに着替え、ダウンジャケットを羽織って病室を出た。ナースステーションには幸い看護師はいず、短時間外出に名前と戻り時間を記入して、裏口から出た。
まず向かったのは駅前の喫煙所で、タバコを一服する。沢尻エリカや田代まさしの野放図さに腹を立てないのはこうした理由だ。
病院は横浜の下町にある。街歩きをしたい。駅前から150メートルくらい歩くと、アーケードのある商店街があった。黒石のこみせ通りのような、両側の歩道に庇がある準アーケードで、昭和を感じさせる趣きがある。歳末なので正月飾りや段ボール箱売りのみかんが目についた。
アートなメガネ屋の外装を見て、猛烈に写真を撮りたくなる。店の存在感を強調するというよりもむしろ、この街が生き生きとしますように、という願いが強いのではないか?都心や新幹線が停車する県庁所在地が往々にしてつまらないのは、油断も隙もない資本主義の悪しき例で、遊び心に乏しいことだ。あったとしても四角四面の優等生で、存在の耐えられない軽さみたいなもんだ。
カフェに入ってコーヒーを飲みたい。しかし、インフルエンザが流行しているらしく、病院では家族以外の面会を受け付けない一時的対応がある。風邪でも移されたら、闘病中ゆえシャレにならない。
カフェを見送って、さらに歩く。風は冷たいけど歩いていると心身の血の巡りはよくなって、まだ20分くらいは知らない街を徘徊したい。気分は観光客だった。
商店街の一筋裏側の道に入ると、古い家がたくさんあって、今日みたいな曇り空なのに男もの女もののシャツが10枚干されて風になびいていたり、何屋さんなのか判断できない店があったり。かなり手強いところだ、と一人ごちて悦に入る。
キリのいいところで引き返した。違う道で病院に向かう。
錆びたトタンとペンキが剥げた廃屋があった。人は住んでいなさそうだ。が、廃屋の一角に、現代アートがあって、編んだ蔓に短冊を結わえて、奇妙な警句や短歌が書かれていた。短冊は15枚くらいか。全部に目を通してみた。書いた人は70歳くらいの女性で、まともな市民感覚があるものの持て余す創作意欲があって、そんな自身に囚われている、と想った。会田誠ふうな婆さんか。
病院近くまで帰ってきたら、ファミマがあった。イートインスペースがあるならコーヒーを飲みたい。入店したらスペースはなかったが、コーヒーを買って半分、駐車場で飲んだ。残り半分は病室で、酒飲みがブランデーをちびちびと飲むような真似をしよう。駐車場の隅っこでタバコを1本吸った。
大事そうにコーヒーを手に持って、病院の裏口から入る。ナースステーションで帰宅時間を記入して病室に入った。
この日記を書く間、5回に分けてコーヒーを飲んだ。ファミマのコーヒーはセブンイレブンのコーヒーよりさらに薄かったのだが、入院患者にはこのほうがありがたい。
とにかく今はこんな感じだが、明日、痛みを伴う施術があるので、今晩からは意気消沈になると思う。
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