ラズリの散歩がてら家から徒歩10分のスーパーへ。
店頭に本日のバーゲン品なのだろう、段ボール箱に入ったままでカボチャが売られている。段ボール箱は3段に積み重ねられ、いちばん上の箱にカボチャが乱雑に並んでいた。乱数表のようにてんでバラバラ。
箱の正面を見たら、大きく印刷された「北海道・JA北はるか・恩根内」という文字が目について、側面に回ってみたら北海道地図で恩根内の位置を記していた。本州最北端の稚内に近い。
北海道でもこんなに緯度の高いところでカボチャが採れるのか!?
何十年も前に読んだ開高健の『ロビンソンの末裔』を思い出す。戦後、政府の甘言に騙されて北海道に渡った開拓民が悲惨な生活をしながら畑を開墾していくストーリー、舞台は旭川だった。恩根内は旭川よりずっと北にあるから、野菜が収穫できる畑作りはいっそうを極めたことだろう。
ありがたく一個、買った。他に牛乳、アップルジュース、ドーナツなどなど。
帰宅後すぐに地図帳を広げてみたら、あったあった。宗谷本線に恩根内駅がある。旭川と稚内のちょうど真ん中、という位置だった。ネットで少し調べてみたら、美深町に属している。1899年に初めて開墾の鍬が入った、と町史にはあった。
全国のカボチャ生産量で、美深町は第4位という統計があった。
1位 和寒町(北海道)8260t
2位 名寄市(北海道)8220t
3位 富良野市(北海道)4930t
4位 美深町(北海道)4840t
5位 指宿市(鹿児島)4390t
ベスト5のうち北海道地区が4エリアも入っているとは。
ウィキによると、美深町は天塩川の砂利川原を指すアイヌ語の「ピウカ(piwka)」(石の多い場所)に由来する、とあったので、松浦武四郎が足を踏み入れた1857年あたりまではアイヌの村だったに違いない。
カボチャ一個で勉強になるなぁ。
持ち重りのするカボチャを見ていると、生産者はもちろんのこと、関東各地の青果市場まで運送してきたドライバーのたいへんさに頭が下がる。フードマイレージが高いのが、なるたけ身土不二がいいと常日頃思っている私には癪だけど、カボチャの主要生産地を見る限り、そうそう県内産を買うわけにもいかない。夏くらいまでは、メキシコ産のカボチャがスーパーに並んでいたくらいだから、国内産だと良しとするべきか。
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