朝から風が強く、正午を迎えた頃からは台風の影響かと誤解するくらいの強風になった。まさに野分か?
前回の台風で大量の銀杏が落実したが、まだ未成熟だった。
今日の風で落ちた銀杏を見ると、食べられる大きさに成長していたので、拾ってみることにした。自閉症患者の箱庭療法みたいなもんだ。
毎年、銀杏を拾って、会社の先輩に送る。
彼は私以上の偏屈者で、たとえば私が表敬訪問をしたっていきなり席を立って自室に行ったりするのだが、奥様がたいそう陽気でかつ優しい性格で、私をおもてなししようと懸命に動き回られる。で、本当かどうか分からないのだが、夫婦とも銀杏が好きで私が持参しようが郵送しようが、とても喜んでくださるのだった。
会社でも彼は私に笑顔を見せることがないくらいの仏頂面で接していたのだが、これは私に限ったことではなく、誰に対しても仏頂面なのである。彼は編集部をご卒業後、7年か8年、法務部という部署で部長をしていた。仏頂面じゃなく部長ヅラ?
私は出版契約書の文面や著者の税法相談、さらに差別表現の校閲などで助言を求める機会が多く、毎日のように顔を合わせていたのだが、教えられることが多かった。
銀杏を洗面器の半分くらい拾い、それを持って山に入る。で、臭い果肉部分を取り除く。そして家に持ち帰り、5回くらい水でもみ洗いをしてから新聞紙に広げて終わり。
明日の夕方には乾くだろう。さっさと投函すれば、3連休前に着く。
元部長だって、内心は喜んでくれるはずだ。おととしは奥様から着いた当日に電話をいただき、「風は相変わらず手紙が上手いな、と主人が感心していました」と礼を言ってたそうだし、昨年は礼状が添えられたハワイの石鹸が返礼品で送られてきた。
私はいたずら小僧だ。なにかやらかしたい。できれば相手を愉快な気持にさせたい。
ログインしてコメントを確認・投稿する