やっぱりフラメンコが好き

　新宿の伊勢丹会館6Fに『エル・フラメンコ』というショーレストランがあった。スペイン料理を食べながら酒も飲めて、フラメンコショーも観れるお店だった。いっ時、頻繁に『エル・フラメンコ』を訪れた僕だが、残念なことに三年ほど前に閉店してしまった。
　どうして僕は、そんなにフラメンコにハマっていたのだろうか？　今考えると、フラメンコが当時の僕の鬱屈とした心を癒してくれるような気がしたからだと思う。
　牧歌的なあの独特で伸びのある歌声と、ハレオ(掛け声)やパルマ(手拍子)に合わせてギターがかき鳴らすリズム感。・・・やがては踊り手がつま先や踵で床を踏み鳴らす音が会場全体を支配していく。
　スポットライトの中でダンサーの汗が飛び散り、眉間にはシワが刻まれ、苦悶にも似た表情がそのまま昇りつめ、終いには官能の名残のように安堵の時が訪れる。そこに僕は情念の飛翔みたいなものを感じ取ることが出来たのだ。それは、舞台上のカタルシスがそのまんま僕のカタルシスへと連動する瞬間のようだった。・・・フラメンコはいい。とにかくいい。満ち足りることが出来るのだ。

『エル・フラメンコ』があった同じ場所に、新たに『ガルロチ』なるフラメンコのお店が開店しているらしい。このお店もまた、本場スペインのフラメンコショーを観ることが出来る。ぜって〜、見に行こう！