｢ダンスウィズミー｣＠ヒューマントラストシネマ渋谷

1999年｢アドレナリン・ドライブ」から何気にずっと観続けている矢口史靖監督の最新作。今作はキャストに特別観たい人がいなくて迷ったが、予定のない金曜の会社帰りにふらりと行ってみた。

＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊　重要部分ネタバレなし　＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊＊

子どもの頃からミュージカルが苦手だったOLの静香(三吉彩花)は、姪っこと訪れた遊園地で怪しげな催眠術師のマーチン上田(宝田明)から、音楽を聞くとミュージカルスターのように歌って踊らずにはいられない催眠術をかけられてしまう。以来、所かまわず歌い踊ってしまうせいで恋も仕事もメチャクチャになってしまう静香。既に遊園地にマーチン上田の姿はなく、途方に暮れた彼女は、マーチン上田のサクラをしていた千絵(やしろ優)とともに彼の行方を追って全国を旅するハメになるのだったが…。

矢口監督お得意の笑ってほろりともさせるミュージカル･コメディ。マーチン上田を追いかけ、北へ北へとオンボロ車で向かい、道中の出会いで諸々ハプニングも起こるロード―ムービーとしても楽しめる"ミュージカルって歌って踊り出すのがちょっとねぇ。。"ってよく言われるが、それを逆手に取った催眠術によって意志に関係なく、"ミュージカルしちゃうヒロイン"が主人公ってところが新鮮

ノリノリで歌い踊った後、めちゃくちゃイヤな顔をしている三吉ちゃんがまあキュートモデルとしても活躍しているだけあって、オフィスファッションはもちろん、Tシャツにジーパンといったシンプルスタイルも様になる。小学生の時からモデルで今23歳だって！これからどんな活躍をしていくのか楽しみ

三吉ちゃんに負けず劣らず、いやそれ以上に魅力的だったのがやしろさんやっぱ芸人さんは器用だよね。特にものまねもする人だから、歌も上手で動きにキレもあり、観ていて何度も頬が緩んだ。ゴミ収集車を追いかけて飛び乗るシーンは最高表情も豊かで演技もなかなかソツがない。もっと役者としても活躍してほしいな

宝田さんの貫禄といい感じの胡散臭さが催眠術師役にピタリとハマっていた大ベテランが出てくると画に説得力と面白さが増してすごくいいエッセンスになっていたと思う。年齢を調べてみてビックリこんな軽快に素敵に歌って踊れる85歳はなかなかいないでしょうお見事でした

出演は、三吉彩花　やしろ優　chay　三浦貴大　ムロツヨシ　宝田明といった面々。ムロさんは少々おとなしい目でちょっともったいない使い方だった気がする。目を細めて頷く三浦くんの薄っぺらさにニヤニヤ

"ミュージカル？"という？付きが出発点の映画なので、これはミュージカルとしてダメとか言う感想は筋違いな気がする。まあ、どう思うかは自由だけどねでも、それを踏まえて観てもらえれば、破綻なくまとまった安定感あるコメディになっていると思う。