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2019年01月06日20:32

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今年の初日記

 大晦日もプレお正月だととらえたら、今日で丸1週間が経ったことになる。年末の慌ただしさと大手を振って無為な時間を過ごせる正月ボケで、新年がスタートした。
 元日、というか除夜の鐘が方々から聞こえる午前零時に近所の氏神へ参拝し、おみくじを引いた。いただいたのは「吉」で、私は生まれながらの大望がある人にしてこころ正直なのだが望みを高くすると災いがあるとのこと。職は筆もつ事よし(原文ママ)、病は養生一つで治る、と書かれていた。神仏を念じて吉、とも。
 2日はお寺の大祭に参加して檀信徒さんや参拝客とともに読経を唱えた。用意されていたお菓子をつまんだところ、これが昭和30年代の和菓子を彷彿する饅頭で、稀少な饅頭だと感じ入り、会が終わってもまだ余っていたので2個、懷に入れて帰宅した。正月早々、こういうみみっちい真似をしていたら、今年もダメやろ。家に帰ってお饅頭の外箱を仔細に眺めたら、岡埜栄泉という川崎の「郷土銘菓」店製で、「渡し」という名前が付いていた。私は渡し。
 4日以降にもらった年賀状というのは、読むのがなかなかに面白い。私が出した年賀状に対する返信なので、書き添える文章も割と長めで、心もこもっている。年末にまとめて出す年賀状というのは、なかなか1対1対応で書くことが難しい。が、元日や2日に書くときは、相手の年賀状をしっかり見て、それなりの対応をするものだ。
 1月4日は、元国会議員宅にお呼ばれしている。私と、私の大学の先輩のふたりが夕食に招かれた。4日の朝10時、元議員が好むパン屋へ行ってお土産に持参するパンをしこたま買って、午後2時半に先輩を藤沢駅でピックアップして、3時に到着。
 私は元議員の自伝出版に携わったため、彼の本という本はすべて読み、ネット上にあるメルマガなども100パーセント目を通した。そして得たのが尊敬だ。「ひとはなんで生きるか」はトルストイの寓話と信仰を元にした佳作だが、元議員をつぶさに追っていると、元国会議員の福音精神がトルストイのそれときわめて近似していることがよくわかる。人間には徳が備わっている。が、社会化され、世の中を渡り歩いていくうちに、多くの人は徳を無くす。他方、徳を美徳に進化させる人もこれまた多数いて、元国会議員は自分に対しても他人に対しても(キリスト教的な)愛を原則に78年間を生きてこられた。
 3人プラス議員の奥様の4人でごちそうが所狹しと並んだテーブルを囲む。乾杯をしたところでメインのお寿司が届いた。早速いただく。正月明けに食べるお寿司は格別だな。
 会話を交わしているなかで気になったことがあった。同窓の先輩は私と同様、サヨク的な考えの持ち主だったのだが、昨年9月の関東大震災朝鮮人虐殺慰霊祭のことを私が持ちだしたら、「あっちのひとは針小棒大にあることないこと言うからねぇ」と言った。これに限らず、中国人観光客のマナーの悪さを滔々と述べたかと思うと、たまたま話題に出た高梨沙羅について「元はブスだったのに整形はしているし、1千万円を超えるベンツを乗り回しているしでよくない。実力も大してないくせに」などと言う。
 私はやんわりと「高いクルマに乗ったくらいで非難されることはない、と思うのですけど。整形についても疑わしき噂を事実と決めこむのも……。一歩間違えると、こういう発言はセクハラになりますし……」などと反論した。先輩はインスタとFacebookを熱心にしていて、5分に1回はスマホの通知音がなっている。で、何度かスマホをチェックしているのだが、彼はネットとSNSの影響を受けて、思考がデジタル化しているような印象を私は抱いた。気がつかないうちに「二進法」論法が進んで、言うことが右翼と低脳が好む「まとめサイト」を絶対視する単純思考に近い。彼は私より読書家で、年間に150本くらい映画を観るような教養人で、会話のなかに話題の書や映画を挾むことが多かったのだが、そういうメタファはこの夜、とうとう聞かれなかった。「SNSを上手く活用出来ない人は成功しない」と彼は彼で私を諭したのだけれど、私はそもそも成功自体を望んでいない上に、自分をこれ以上いかがわしくしたくないのである。他者ありきで成立しているSNSに私がどっぷりと浸かったとしたら、かっこばっかつけようとする浅薄さがいや増すばかりだ。
 昨日5日は、逗子のブックオフまで自転車初乗り。暖かな昼間だったので気持ちよかったぁ。保坂和志の草思社文庫版『いつまでも考える、ひたすら考える』などを買った。昨年度の年末書評で保坂の『ハレルヤ』を1位に挙げた人がいて、久しぶりに読んでみようか、という気になっていたところだった。私は彼のことが好きなのに、彼の力作エッセイは決まって途中で投げ出していた。たとえば『世界を肯定する哲学』とか『途方に暮れて、人生論』とか。この『いつまでも考える、ひたすら考える』はぱっと見、この一連のエッセイ集と近かった。自分の読書力を試すいい本かもしれないな。
 ここのところ、コンポでCDを鳴らして音楽を聴いている時間が多い。オーディオマニアでもなんでもないのだが、やっぱ音質がいいことを条件に求める音楽というのがあって、YouTubeをBluetoothでコンポに送って聴くのが憚れることが何度かあった。いま流しているキース・ジャレットの「ザ・ケルン・コンサート」なんかもその一枚、かな。
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