人のために

尽くしたいとか、料理に手を掛けたいとか、今まで思ったことがない。そんな人間がいるのかと思われるだろうが、本当だ。
そういう風にしなければいけないんだろうな、と思うことはある。でも、尽くしたい人は「しなければいけない」からするのではなく、そこに何か喜びがあるらしい。分からない。
わたしが何かやって喜ぶ人がいるとは思えない。ただ、迷惑にならなければいいなと思うだけ。余計なことをして、怒られなければいいな、と思う。
人にデザートを出すとき、お土産を渡すとき、どうぞ食べて！とは言えない。食べても食べなくてもいいけど、一応置いとくわ、という感じに置く。
とりあえず、当たり障りなければホッとする。
喜ばれたりほめられたりは、欲していない。されてもどうしたらいいかわからない。そういうのは、特にいらない。

そんなわたしの作る食卓は、さぞかしつまらないと思われるだろう。そのとおり。切って煮て味をつける。または、切って炒めて味をつける。鍋にどーん、大皿にどーん。ご飯と味噌汁は個別につけるが、後は自分で好きなだけ取ればー、である。
子どもの弁当も、キャラ弁なんて作るわけがない。玉子焼きとタコウインナーとおにぎりがあれば、あとは何でも同じ。気休めに、時々おにぎりをキャラクターのラップに包んでみる。それくらいである。