mixiユーザー(id:1772351)

2018年08月20日07:48

95 view

精霊流し

■花火と爆竹のけたたましい炸裂音。強烈な火薬の匂いが鼻をつき、硝煙に覆われた大通りを精霊船とざわめく人々の流れがゆっくりと進んで行く。前方に見える精霊船の帆に書かれた「西方丸」の文字が、煙の中で上下に浮き沈みしながら少しずつ闇の向こうに遠ざかって行くのを、僕は立ち尽くすように眺めていた。
 ・・・なるほど、この光景こそが『精霊流し』の醍醐味なのだろう、と僕は思う。精霊船の漕ぎ手は死者の西方浄土への旅を見送り、そして見送られる側も、最後の別れの時の到来を予感する。お互いが、どうにもならないこの世の理(ことわり)に、何とか心の折り合いをつけようとするのが『精霊流し』なのだろう。自分の心中に潜んだ死生観の存在に驚きながらも、<素敵なお祭りだな>と僕は思っていた。
2 2

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2018年08月>
   1234
567891011
12131415161718
19202122232425
262728293031 

最近の日記

もっと見る