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2018年08月08日23:53

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迷宮入り事件を解く鍵・【和歌山毒入りカレー事件・20年目の事実】

■和歌山カレー事件から20年=住民口重く、深い傷痕=新たな夏祭りにぎわいも
(時事通信社 - 07月24日 15:30)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=5213806

 ■事件概要■

 この事件、凄惨さは群を抜いており、判決時も傍聴を希望する人は5000人を越え、抽選になるほどだった。無職で、しかも事件前は芸能人やスポーツ選手でも無い、無名の人にこれほど希望者が殺到するのは前代未聞のことだった。

 子ども達が夏休みに入り、夏祭りが全国で盛んに催される7月下旬。20年前和歌山県の閑静な現地でもお祭りが催されていた。和歌山県・和歌山市園部地区。この地区も例外ではなかった。平成10(1998)年7月25日、夏祭りで提供されたカレーに毒物が混入され、67名が中毒症状を訴え、4名が死亡。無職の林眞須美が犯人として逮捕。平成21(2009)5月18日、最高裁で死刑が確定。拘置所に収容されている。

■マスコミによって捏造された放水オバハンの虚像■

 林眞須美と言えば、報道関係者にホースで水を撒いて笑っているあのふてぶてしい態度が印象的だ。マスコミ、週刊誌、新聞の言っていることが100%正しいと頭から決めて掛かっているような情報弱者からすれば、

 「あんなふてぶてしい女ならば殺したのは間違いない。」

 と考えても不思議ではない。

 そのような人たちからすれば、

 林夫婦が所持していたヒ素成分とカレーに混入されていたヒ素成分が同一成分で合致し、物証はそれで充分だろ?? それに、彼女はご近所から、疎んじられていて嫌われていた。それを逆恨みし、カレー当番の時にヒ素を 混入させ、恨みを晴らす為にヒ素を混入させた。それで動機は十分だろ。

 一体何をこじつけているんだ??

 と思われたかもしれない。

 林眞須美死刑囚のイメージと言えば、あの放水ともう一つ、メーカー品の黒いTシャツではないだろうか。ある有名なブランドのロゴが入っていたらしいが、イメージ悪化を懸念したメーカー側の要請で、報道の際、ボカシが入るようになったと聞く。

 彼女の夫、林 健治氏が事件から数年後、こう語る。

 
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カレー事件の後、マスコミがウチの家を取り囲んだでしょ。夜中もずっといてるから、蚊にでも刺されたら、かわいそうやなと思って、キンチョールを持って行ってやったりしたんですよ。それなのに、トリモチをつけた棒で記者たちは郵便物を抜き取るわ、塀に梯子を掛けて、子どもの部屋の写真まで撮ったりされて・・・。

 そん時、私、身体が不自由やったから、眞須美に

 「あいつら、逆上せ上がってるから、記者会見する言うて集めて、(頭の)上からいっぺん冷やしたれ。」

と命令したんですよ。

 以来、「眞須美」と言えば、「放水」が絵でしょ。いかにも毒を入れそうなオバハンの「絵」ですわね。

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 あのふてぶてしい放水オバハンというイメージは彼女の意思によるものではなく、意外なことに夫、健治氏の指示によって出来上がったのである。

 マスコミの記者たちのメディアスクラムに圧され、4人の子ども達は夏休みが終わっても登校することすら出来なかった。外に出ると記者たちに囲まれてしまうからである。このため、何と和歌山県教育委員会は報道関係者達に子ども達の登下校を妨害しないように文書を配布する異例の事態となったというから、言語道断だ。放水された腹いせに子ども達の登校を妨害したというのであれば、そうそうたる4年制大学を出ていながら、新聞記者たち、マスコミの程度の低さが際だっている。

 視聴率の為だったら、どんな下らない愚民番組も平気の平左で拵える日本のマスコミの傾向は今に始まったことではないが、知れば知るほど、あまりにもお粗末だと言わざるを得ない。

■揺らぐ毒物判定【事件発生当初とこんなに違うのはなぜ?】■

 ここで健治氏の発言に注目すると、「身体が不自由だった」とあるが、この時、実は保険金を詐取するため、多発性神経炎を発症していたのである。

 健治は嘗て白アリ駆除会社を経営し、廃業後もヒ素を保持していた。

 このヒ素を用いて、カレー事件の10年ほど前から保険金詐欺を繰り返していた。その被害額は8億円にも上る。

 このため、事件が発生した後、林夫妻が真っ先に疑われたのである。しかも夏祭りの時、眞須美はカレーの番だった。

 67名のうち、生存した63名の和歌山県立医科大学皮膚科が行った調査がある。たとえば、事件後二週間に被害者の多くに共通して見られた兆候は、次のとおりであった。


• 吐気 92%
• 嘔吐 94%
• 下痢 54%
• 低カリウム症 60%
• 白血球増加 60%
• QT延長症候群51%

 特に吐瀉物の多くから、青酸化合物が検出され、事件当初は「青酸カレー事件」と報じられた。事件後、遅れて1週間後にヒ素も検出された。つまり今回の事件はヒ素だけでなく、青酸化合物と2種類の毒が検出されたことになる。ところが林夫妻がヒ素を持っていることから、ヒ素と眞須美がつながり、「なぜか」青酸化合物の線はフェードアウトしていく。当初有力な毒物だったのに・・・。

 警察の見解の変遷も不自然だ。

 青酸化合物が検出された。これが死因だ
      ↓
 青酸化合物も検出されたが、ヒ素も検出された。4名の犠牲者の死因はヒ素の毒物だった
      ↓
 青酸化合物は混入されていなかった

 と変化している。この変化の真相は不明である。

■取調室での「暴行」

 10月4日、林夫妻が保険金詐欺容疑で逮捕された。なお、夫・健治氏は容疑を認め、2000年10月、懲役6年の実刑判決が確定した。眞須美は別件逮捕だった。

 この時のマスコミのメディアスクラムも凄まじい。林宅上空には10機のヘリが旋回、報道関係者が500名以上も取り囲む異例の事態となった。幾ら犠牲者が出ているとはいえ、林夫妻は逃げようも無い状態なのに、ここまで行なう必要がどこにあったのだろうか。

 眞須美は和歌山東署で連日厳しい取り調べが行われた。

 夫・健治氏に宛てた手紙ではマスコミの報道では知り得ない驚くべきことが書かれていた。

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 3日目には頭がヘンになり、幻覚まで出て来た。1人の刑事が「やりました」の五文字を書けと強要し、座っている私の左腕を思い切り殴った。これで目を醒ました私は右手をゲンコツにして、思い切り殴り返してやった。向かいに座っていた刑事も驚いていた。

 私に殴られた刑事は刑事としてのプライドを激しく傷つけられたのか、激しく暴れて、

 「殺してやろうか」

 と言うと私は

 「根性があるならば、今すぐ殺せ。」

 と云い返してやった。その刑事は当たりを蹴飛ばしてキレまくって出て行った。

しかしそれでも3カ月で私は折れた。

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 刑事ドラマの取り調べ室以上に壮絶な様子が赤裸々に書かれていた。警察側の暴力的な事情聴取が描かれていた。

 ■警察の誘導とお粗末な「ヒ素鑑定」■

 警察は、12時20分〜13時までの40分間、眞須美がカレーの番をしていて、その間にヒ素を混入した、眞須美以外に毒物を混入出来る者はいなかったと結論づけ、12月4日、眞須美を再逮捕したことになっている。

 しかしこれもかなり疑えば疑える。

 夏祭りでカレーが配られるのは17時以降だ。果たして4時間もの間、味見を誰もしなかったのだろうか。明らかに不自然だ。カレーはかき混ぜていないと固まってしまうため、実際にはした者がいたとすれば(こちらの方が状況を考えれば自然だ)、毒物の混入したカレーを食べてなぜ大丈夫だったのか。

 まだ結論は出さなくて良い。

 このままでは論拠希薄で眞須美を起訴出来ない、そう考えた検察側は東京理科大理学部の応用化学科の中井 泉教授に、事件現場で押収されたヒ素の付着した紙コップ、林宅の台所にあったヒ素、健治が保持していたドラム缶入りのヒ素の鑑定を依頼した。
 
 中井氏は大型放射光施設・スプリング−8を用いて、ヒ素は同一であると結論づけた。しかし中井氏の「同一」とは、その後の話で、同じ時期に同じ工場で製造されたヒ素に過ぎない、という言質だった。ヒ素は我々が思っている以上に身近な化学薬品で、白アリ駆除だけでなく、殺鼠剤だけでなく、ミカンの減酸剤としても使われている。特に和歌山県はミカンと梅の産地ゆえ、大量にこの地域でも出回っていた。実際、林宅と同じヒ素は近所に6軒も持っていたほどだ。

 結局のところ、何と検察が起訴するために依頼した中井鑑定を以ってしても、犯人と特定出来ていなかったのである。しかしながら、それでも眞須美には死刑が確定してしまった。

 眞須美が死刑判決を言い渡された後、弁護団は再審請求を行なうべく、蛍光X線分析の第一人者でもある京都大学大学院工学研究科の河合 潤教授に中井の鑑定書の解説を依頼。更に河合氏は独自にヒ素の分析を行なった結果、紙コップに付着していたヒ素の濃度を亜ヒ酸濃度に換算した結果、98%と極めて高濃度だったのに対し、林宅にあったヒ素は不純物が多く、濃度は低い、と結論づけた。

 ヒ素は高濃度の場合、痕跡が頭髪に残る。検察側は勿論眞須美の頭髪の鑑定を行ない、それも有罪の根拠としているが、河合氏はそれも疑問を唱えている。林宅のヒ素では濃度も純度も低く、痕跡が残るレベルには到底至らないはずだと言うのだ。

 これらを受け、弁護団は平成25(2013)年2月、「再審請求補充書」を、そして翌26(2014)年3月には河合氏の鑑定書を和歌山地裁に提出した。

 平成29(2017)年3月27日、地裁は中井氏の鑑定の証明力が減退したことは否定し難いが、だからといって、それだけで有罪認定に合理的な疑いが生じる訳ではない、と再審請求を棄却したのである。

 弁護団は大阪高裁に即時抗告を行なうと共に、ヒ素鑑定を行なった中井氏らを相手取り、6500万円の損害賠償を求める民事訴訟を起こした。

 ここまでのやり取りをお読み頂いて、どう思われただろうか?

 まだ事件は終わっていないのだ・・・。

 今の天皇陛下が譲位され(退位という言葉は厳密には正しくない)、次代になる際に「恩赦」で容疑者たちの減刑がされる前に死刑台に乗せてしまえ、そうすれば「死人に口無し」だ、というのは乱暴な話である。心ある人は真実が知りたい。

 このまま真実が語られることが無ければ、類似する不気味な事件は手を替え、品を替え、登場するのは間違いない。

 もう二度とこのようなおぞましい事件が起きて欲しくない、そんな願いに一歩でも近づくために本当はどうだったのだろうかを切に知りたいと願っている。

★未解決事件に関する日記はコチラ左斜め下

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