Aプロを観ただけで判断するのは早急だけど、ルグリマラーホフギエム引退後の、ザハロアクラスのスーパースター不在なのが克明に分かった。
シムキン君辺りがそのポジションになるかと思っていたが、何があったのか、彼は内省的な方向に向かったようだ。
これは困る。
体調が悪いとかだったらいいけど…とか思いながら、大人になってしまいあのファニーフェイスがアンコールでも出てこなかったのが気になる。
だからもちろん演者は素晴らしいのだけど、前半、地味だった。
瀕死の白鳥は元気で瀕死じゃないし、バランシンを上手く踊っている人もいないし。
その中で気を吐いていたのがオペラ座勢。
ボラック&ルーヴェのくるみは、多分今回のメンバーの中で一番体格的にもテクニック的にも地味な二人が丹念に踊りを組み立てていく姿には感心。
そしてデュポン&プロイエット「…アンド・キャロライン」は僕がずっと苦手だったデュポンと初めてフィーリングが合って、何か観てて幸せになるじゃん、ちょっとメンヘラ的な、シリアスな作品なのに、って感じたのでびっくり。
曲と一緒に流れる英語のモノローグの内容が分かればもっと楽しめただろうなあ、と思った。
振付のアラン・ルシアン・オイエン(ノルウェーにいる人らしい)は要チェックかも。
そして第3部最後のフェリ、申し訳ないんだけどもう踊らない選択肢を選んで欲しいと思った。
肌の衰えが照明でくっきり見えて、テクニックも全盛期には届かないし、結構観てて、辛かった。
それなのに今度NBSでまた名前を冠した演目があるって何…?
あとベジャール作品ももうきついでしょう。
「シシィ」だった今でも観たいけど(未見)、ギエムに振付けた作品だから、一生観れずに終わりそうだなあ…。
第4部3つ目のセモオノワ&フォーゲルのフォーサイス「ヘルマン・シュメルマン」辺りからラストスパートの熱が帯びてくる。
西欧から30年遅れで日本の観客でもフォーサイス大丈夫になってきたかも?
フォーサイス・プロとかどっかで企画してくれるといいのになあ(絶対無理)。
ジルベール&ガニオのマノン寝室のパドゥドゥが今回一番お祭りっぽかったかな。
そしてウイド=ブラ―ム&エイマンの鈍器は体幹がしっかり確保された踊りが圧巻。
勿論4時間半あったから、ショーケースとして充分チケット代の元は取ったし楽しかったが、残念な作品が多い。
なによりみんな、振付の再現に気が入っているし、体格的にも恵まれているのに、それ以上、を目指す意欲に欠けるな、というのが率直な感想だった。
そういう意味で、シムキン君の将来が気になる。
彼、内省的な方向に向かったとしても、どこかで大化けできるだろうか?
シムキン君、頼む、頑張ってくれ……。
そしていつかその表情を眉をしかめずに、今までの大輪のような笑顔で満たしてくれ。
僕の望みはもうそれだけだ。
以上、次は行く予定じゃなかったBプロに続く。
ササキ・ガラが旅行で行けなくなったので、予定変更したのだ。
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