ジョルジュ・ブラッサンスの『雨傘』という歌が好きです。
雨の中を傘も持たずに濡れながら歩いている美女に、
「僕」は、その日の朝、友達の家で失敬してきた傘を差し出して、
相合い傘で一緒に歩いていくという、それだけの歌詞です。
私は夜、表参道の坂道を、急に降り出した雨の中、
ちゃんと傘は差して、下っていきます。
右手のお店から、ベビーカーを押しながら女性が出てきます。
傘は持っていません。
突然、私の頭の中に、『雨傘』の歌が湧き上がります。
女性は、降りかかる雨に、ひるむことなく、
ベビーカーもろとも、駆け出します。
車道に停車しているタクシーに乗ろうというのです。
私もタクシーのところまで駆けていきます。
赤ん坊を抱き上げてタクシーに乗り込もうとしている女性に
私の傘を差し出します。
日本の方ではないらしく、「サンキュー」と私に言います。
ベビーカーを、後部トランクにしまいつつある運転手さんが、
「ありがとうございます」と言っています。
女性と赤ん坊を乗せたタクシーは、
あっという間に走り去ります。
傘を差しながら見送る私の頭の中で、まだ、
ジョルジュ・ブラッサンスが歌っています。
ところで、この傘は、自分の傘かな?
★ブラッサンスの惚れ惚れする歌声は、こちら。
https://www.youtube.com/watch?v=STHFC3slPRk
★素敵な訳詞は、こちら。
https://www1.gifu-u.ac.jp/~frjp/bases/brassensjp/octi/sub3.htm
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