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2017年09月14日21:27

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風琴工房「アンネの日」

この劇作家、詩森ろばは信用できる。

本気でエンタメ演劇で感動を伝えようとする気概を感じる。

3.11までどんな作品だったかは知らないが、今、きっと彼女は本気で切実だ。

きちんと資料に当たって台本に反映させているのが分かるから、すごく誠実だと思う。

序盤、20分で物語が退屈な方向に行きそうになった。

しかし性同一障害のキャラが出てきて、話が走り出した。

そこで初めて観客全員が世の中の偏見に改めて気づかされ、問題を共有するべき切実な芝居になった。

エンタメ作品を本気で作るってこういうことだ。

惜しむらくは物語を昇華しきれていないこと。

理由ははっきり、物語がジャンプする瞬間、ピークエクスペリエンスがないことだ。

誠実に資料に当たり、現実的な問題の抽出に苦心する余り、それに引きずられてフィクション的な飛躍がない。

だからこの作品は、現実を飛び越える瞬間がある、フィクション込みの続編を作るべきだ。

そしてその時は(きっとこの劇作者なら大丈夫だと思うが)、現実には問題解決不可能なことにへこたれてしまわないこと、あくまでハッピーエンドを目指すことが大切だ。

そして本作のDVDもぜひ売って欲しい。

僕の勉強の為に、ぜひもう一度見たいから。

そういう意味で、ビリーエリオットなどに較べるととても惜しい作品だった。

でも絶対に見る価値はある。

こういう挑戦があるから、私たち演劇ファンは常に芝居で元気を与えてもらえるのだ。

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