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2017年03月14日22:22

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新旧ピンク

 シネロマン池袋で渡辺護監督の79年作品「聖処女縛り」を観る。脚本は高橋伴明監督。冒頭から緊張感がある。逃げる活動家と追う特高。活動家の恋人は、ともに逃げようとするが、その姉が止める。姉は特高の2号。特高が活動家を射殺する場面は、直後に汽車が通り過ぎる。当時のピンク映画はこんな画面が作れたのか。
 妹は特高を殺そうとして失敗。その自宅に監禁され、調教される。特高は病気の妻に対しても冷酷で、妹の処女を奪った後、「せめて処理しろ」と妻の口にペニスを突っ込む。「血の味がする」とつぶやくのにどきりとさせられる。これが妻が妹を逃がす伏線にもなっている。
 いったん逃げた妹も、被虐の喜びに目覚め、包丁を持ちだしても特攻を刺すことができない。大日本帝国を象徴する特高と、弱者である姉妹の対照的生き方を見せることで、SM物に必要な加虐と被虐の説得力になっている。幕切れも恐ろしく、実に面白い映画だった。
 上野オークラで関根和美監督の13年作品「真夜中の不倫妻」。失業した夫をさ支える妻が、パート先でセクハラにあう場面から始まる。こんな上司が今時いるのか。さらに夫が自殺未遂、愛人まで現れる。
 これらはヒロインを不幸にするために存在するようで、気分が悪い。カラミ場面ばかりが連発するのもマイナス。主演の波多野結衣さんは、この年の新人女優賞を獲得しているが、ピンク映画では作品に恵まれなかったようだ。
 加藤義一監督の新作「大阪お天気娘 半熟美尻コテ返し!」。脚本は後藤大輔監督。登場人物たちのキャラクターが楽しい。死を覚悟して遺言を書くのだが、息子の嫁とセックスしまくりのもんじゃ焼き店の店主。「齢」と「弱い」を間違える天然ボケ気味の嫁。大阪から来た店主の孫を自称するヒロインは、阪神の話題から入るが、「六甲おろし」の歌詞を忘れ、歌唱力はオマリー並み。
 広島から現れた自称息子は、菅原文太のパロディのよう。「仁義なき戦い」の台詞も引用。店主と嫁のセックスをのぞき見する弟子は、調理師免許に落ちまくり。。京都から来た「ぶぶ漬け女」も、単なるカラミ要員にはしていない。
 しかし、弟子は下着を洗って返すし、嫁は店は閉まっていても、掃除を欠かさない。息子はやせ我慢ながら筋を通す。ただのダメ人間ではない。
 これら登場人物たちが絡み合うコメディで、それなりに楽しいのだが、ちょっともたつくところがあって惜しい。台詞でも「乱暴な話」としている通り、コメディとはいえ無理やりな設定がある。
 加藤監督と後藤監督のコンビ作としては、「巨乳だらけ 渚の乳喧嘩」のような余韻がなく、残念。しかしもんじゃ焼きやお好み焼きのレシピや調理方法を映像で見せたり、血のつながりを自覚する場面など、観るべきところはある。次のこのコンビ作に期待。
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