シアターグリーンであおきりみかん「ルート67」を観る。とある国の国道ルート67を走る男。ここは人間と車が融合した未来世界。この道が廃止されることになり、それを阻止するためレースが開かれる。男はエントリーし、ここで超高速で走る女性と出会う。
場面が一転して、工事予定の道を歩く女の子。この道が廃止されることになり、女の子はある理由でこれに反対。抗議行動中である。冒頭の未来世界は、この女の子が書いた物語とわかる。
虚実の世界を行き来しながら、2つの物語が次第にリンクしてくる。ゴールがどこにあるかもわからず、追い抜いたと思った競争相手が、知らない間に先行している不条理なレースは、思い通りにならない人生の暗喩か。女の子にはこれに挑む覚悟があると感じれらる。
それでも「偉い人の決定」に逆らい、市長とも渡り合う女の子に、賛同者が増えてくる。これは今のろくでもない方向へ向かっているような世界へのアンチテーゼか。「覆らないことなんてない」の台詞は青臭いながらも気持ちいい。
劇中走る場面が多い。前の作品で、舞台を走る演出が面白かったが、今回はさらに工夫が見られる。惑星ピスタチオの「破壊ランナー」の迫力には及ばないが、それ以来の面白さがある。
女の子の想いが、作中の超高速女性に結実する面白さ。甘くないが希望がある幕切れもいい。今回も楽しめた。
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