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2016年12月14日09:53

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人生意気に感ず「98歳の岩田さんと会う。地獄の戦場は今。死の川を越えて」

◇13日、岩田亀作さんを訪ねた。一週間ほど前、衣料品が小包で届き、身辺整理が終わったことが書かれていた。間もなく98歳を迎える岩田さんは、ニューギニアから生還後、長いこと衣料品の販売業に従事した。店は奥さんに任せ、自身は富士見や芳賀地区を車に衣料品を満載して行商していた。お得意先を回りながらニューギニアの話をするのが楽しみであり生きがいだった。ダンピール海峡を長時間泳いだこと、3千m級のサラワケットを命をかけて超えた話、上官の毒殺命令に逆らって毒薬を地中に埋めた秘話などは、何度聞いてもドキドキさせられた。最近は奥さんが認知症になり、洋品店は閉め10年程前から行商も止めた。売れ残った商品が山のようにある。いくつもの段ボールに詰め、ニューギニアなどに贈る作業を続けてきた。
 岩田さんは、耳が非常に悪くなったが頭脳は驚く程明晰である。最近まで、限られた距離であるが車も運転していたのだ。無事故、無違反を貫いてきた。さすがの岩田さんも年が明けたら免許を返上する決意を固めた。全国の戦友がほとんど上に行ったと天を指して言った。岩田さんの話を聞きながら、ニューギニアを慰霊で訪ねたことを思い浮かべていた。「今見る地獄の戦場」という小冊子を書き、ここに書かれたことを岩田さんと各地で講演したことが懐かしい。
この人と約束していることがある。数年前に「百歳まで生きて下さい。私が弔辞を読みます」と話したことである。百歳はもうすぐ確実にクリアできるだろう。弔辞の時も必ず来るだろう。「それは急がなくてもいいよ」と、私は心の中でつぶやいた。ニューギニア、シベリア、その他で過酷な戦争体験をした人がほとんど地上から消え去ろうとしている。
◇岩田さんは、私の顔を見るなり「新聞の連載を読んでいます。昨日は休刊日でしたね。今朝の第3回を読みましたよ」と言った。何と嬉しいことか。思わず岩田さんの手を握った。「死の川を越えて」を岩田さんの生涯である「死線を越えて」と思わず重ねていた。人間のドラマの究極の姿は、「死線」を超えた所にある。生死を超越した岩田さんの冷たい手から、私は無限のエネルギーを受け取る思いであった。
◇12日、前高卒の県職とOBの忘年会で「死の川を越えて」をコピーして配布した。1年が間もなく終わる。(読者に感謝)

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