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2016年10月16日18:18

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流した涙のあとで・・・

ボクは中央大学の選手団の近くにいた。

箱根駅伝予選会が終わって結果発表を待つこのみんなの原っぱで中央大学の陣営が集まるあたりを旗を頼りに大混雑の中で目指した。当然、すでに大勢の関係者やファンでごった返している。大きな木の下はいつもの神奈川大学、その隣だった。

前評判が高くトップ通過も予想された神奈川大学の横にスポーツ報知でもピンチと報じられた中央大学がいる。

中央の選手たちが控えるその大きな輪には多くの報道関係者が入り無数の旗の間から何本もの集音マイクも見える。

1位からの発表が進み9位までが確定した。残りは1校、ここに中央も日大も城西もその名前はまだなかった。中央の旗を持った関係者は両手を合わせて握りしめている。

第10位、日本大学・・・・

中央の大きな輪には言いようのない沈黙が漂った。だが、すぐにそれを跳ね返すような拍手が起こった。その中心にいる選手たちの姿は見えなかったが、その拍手は周囲にいた人たちから発せられたことだけは間違いない。

87年連続90回の出場を誇る中央は第93回大会において出場を逃した。



昨年とはうって変わって今年の予選会は快晴。当然観衆は多いだろうと思ったが、それでもボクの予想を大きく上回る人出だった。というより、昨年はあの雨であの観衆だったことを思えば、この予選会の人気がどれだけ異常なものかは想像できたはずだったが・・・


スタート時はいつものように自衛隊駐屯地の滑走路。一番奥まで行かなければ最前列の場所は取れなかった。ピストルが響いて選手たちが米粒よりも小さくなって、その集団がまた戻ってくる。

外国人留学生が先頭集団を形成するなか、白い鉢巻に白のユニフォームの町澤選手の姿が見える。市立柏出身の彼はずっとボクが応援してきた選手だ。

FCバルセロナを思わせる創価大学、本戦より少し淡い紫の明治、薄いグリーンとオレンジでおなじみの大東文化大学・・・

みんな予選会独特の集団走でボクの前を通り過ぎる。


全員が通過するとそこからいつもの17キロ地点へ向かうが人の流れはほとんど進まない。そしてやっと公園内の周回コースにたどりついても、コースの両側はもうぎっしり満員・・・・

しばらく歩いてやっとの思いで隙間に滑り込むともうすぐに選手たちがやってくる。日大と桜美林の留学生選手が並んでトップ通過。

町澤選手は汗をかきながら苦しそうに走り抜けて行った。

続々と選手が通り過ぎる。毎年最後の選手まで声をかけるボクはこれでそろそろ終わりだとうと思いながら待ち続けたが、最後は運営管理者だけが通り過ぎた。途中で棄権でもしたのだろうか・・・


その後、結果発表が行われるみんなの原っぱへと向かう。

もうびっしり大観衆で埋め尽くされたこの広場は1位から1校ずつ発表されるたびに大歓声が上がる。学連委員による発表は15位まで。それ以下のチームは号外が配られてそれで確認することができるが・・・・

今日のスポーツ紙によると中央の1年生主将である舟津君は予選会終了後にこう挨拶したそうだ。

「もし先輩方に文句をいう人がいれば私が受けて立ちます。文句があるなら私にぶつけてください。」

もう一度言うが、この主将は1年生である。

中央の連続出場は途絶えた。城西も13年で連続出場は途切れた。つい最近優勝した亜細亜は15位に入れず会場で名前を呼ばれることはなかった。

名門校、伝統校とはいえ新興勢力の台頭もあって出場は厳しくなっている。

中央のユニフォームをお正月に見ることができないのは関係者でなくとも寂しい。しかし、舟津君の言葉は来期の復活の力になるのではないかとも思う。

伝統校になればOBの影響力は大きい。多くの批判もあるだろう。しかし、大切なのは主役は選手たちであるということだ。その選手たちがこの現実をどう受け入れて今日からどういう生活態度でどのように取り組んでいくか、そこですべては決まってくる。


人生はいいことばかりではない。どちらかというとうまくいかないことのほうが多い。ただそんな時、それをきちんと受け止めてこれからどういう生き様をみせるか、それが人生を決める。もちろんそれは選手たちだけじゃなくボクも同じだ。

44秒差で日大に敗れて本戦出場を逃した中央、その差が4秒だった大会もある。1秒だった年もある。残酷な現実を目の当たりにする箱根駅伝の予選会。テレビ観戦のほうがずっとわかりやすいのに毎年ここで観戦するのは、それを他人事と思わず緩みきったボク自身を叱咤するためだ。

今年もいいものを見せてもらったと思う。500位以下の選手では苦しくてなんともいえない声を上げながら走った選手もいる。泣きべそをかいてるように見えた選手たちもいる。トップランナーとの能力差は歴然だ。だが、彼らとて自分のベストを目指して走っている。

この昭和記念公園のコースに流した汗や涙は背負っているものが違うそれぞれの選手たちにとって意味合いは違うだろう。だが、その尊さは変わらない。そして、それは見ているものが流した涙も同じだ。


2016年10月15日 第93回東京箱根間往復大学駅伝競走 予選会
(於 陸上自衛隊立川駐屯地〜立川市街地〜国営昭和記念公園)
1位  大東文化大学
2位  明治大学
3位  創価大学
4位  法政大学
5位  神奈川大学
6位  上武大学
7位  拓殖大学
8位  國學院大学
9位  国士舘大学
10位 日本大学
11位 中央大学
12位 城西大学
13位 東京農業大学
14位 専修大学
15位 東京国際大学

(10位までが本戦出場)

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