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2016年09月09日14:28

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親の愛

 最近、郷里の母からちょくちょく電話が入るようになった。それでいて、何か用があるわけでもなく、ただ単に僕が元気でいるのかどうか? それだけが心配らしいのだ。
 実は郷里の両親には自分が病に倒れ入院したことを黙っていた。兄にはその事実をひとまず報告したものの、両親には心配をかけたくないので伏しておいてくれ、と頼んであった。
 退院後、幾分元気を取り戻せたと思った僕は、息子の結婚披露宴で会うこととなった両親に、本当はこういうことがあったのだけれど、今はすっかり快復して元気になれたから心配しないで欲しい、とだけ笑顔で伝えた。

 それからだ。月に二度ほど母から電話が入るようになったのは。本来なら自分のほうが年老いた両親の身を案じて連絡しなければならないところなのに、逆に両親に心配ばかりをかけている自分。幾つになってもこのザマである。情けないやら、申しわけないやらで、身の縮む思いをしている。

「親思ふ 心にまさる親心 今日のおとづれ何と聞くらん」 幕末の思想家、吉田松陰が刑死の1週間ほど前に親に宛てた書状の中で詠んだという、この歌の本当の意味が60歳を間近に控えてようやくわかる自らの愚かさ。今はとにかく静かに生きていくことだけが自分の出来る親孝行と、ただそれだけを念頭に毎日を暮している。
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