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2016年08月24日22:46

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ハリケーン

 シネマヴェーラ渋谷の「映画史上の名作」特集は毎回楽しみなのだが、渋谷はなかなか行けなくて残念だが、気になっていたジョン・フォード監督37年作「ハリケーン」を観る。映画ファンになりたての頃、この映画のリメイク版を観た。20年代の南の島を舞台に、ミア・ファローの総督の娘と、現地青年の恋を描いていた。
 こちらはフランス統治下の南洋の島。ジョン・ホールとドロシー・ラムーアのカップルは現地人同士であり、映画が始まって10分程度で結婚。ここで2人の妨げになるのは、ヨーロッパと南洋の文化の違い。一等航海士の主人公は、タヒチで横暴な白人を殴って刑務所行き。主人公は刑務所など理解できない。妻に会うために何度も脱走し、そのたびに刑期が延びる。ここの描写は、残忍な看守役がジョン・キャラダインであることもあって、「虎鮫島脱獄」を思わせる。
 最もヨーロッパの文化を代表するのは、レイモンド・マッセイの知事。官僚の家系の知事は、法の重要さを説いて、主人公を助けない。脱獄した主人公を捕らえようとして、島民に疎まれる。知事は悪役ではないが、映画は島の側に立っている。たとえこの映画の南洋がファンタジーだとしても、当時として白人の側に寄らないのは珍しいのではないか。
 島に長く住んでいるトーマス・ミッチェルの医師は、島民と同化していて、何度も知事に警告を発する。知事夫人のメアリー・アスターは、妻を助けようとする。C・オーブリー・スミスの神父は、主人公と関わることで、国より神に従おうとする。
 主人公が島に逃げ帰り、2つの文化の緊張が頂点に達した島を、ハリケーンが襲う。リメイク版も最後の特撮が見せ場だったが、オリジナル版は今見ても見事な特撮で、島が津波で崩壊する様が凄まじい。リメイク版をはるかに上回る出来。
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