ヒューマントラストシネマ渋谷で河崎実監督の新作「大怪獣モノ」を観る。異常気象で地底で眠っていた怪獣が蘇る。東京に接近する怪獣に対し、「セタップ細胞」で巨大化したプロレスラーが戦いを挑む。
河崎監督によると、「シン・ゴジラ」便乗企画であり、原題は「コチラ」。「スターウォーズ」に対する「惑星大戦争」よりふざけている。このジャンルをこよなく愛する河崎監督だけに、劇中で言及される「フランケンシュタイン対バラゴン」始めとするオマージュが目立つ。
しかしクエンティン・タランティーノ監督と違い、過去の映画の記憶を、自らの演出力にしていないため、バカ映画の域を出ない。「ウルトラマンレオ」風の特訓や、巨人でいられる2分40秒の時間制限、怪獣が卵を取り戻しに来る「大巨獣ガッパ」のような設定が、全く生かされない。むしろ話の流れを止めてしまう。
それでも監督の愛情は大いに感じられた。低予算ながら、セットや怪獣の造形はしっかりしているし、レスラーは昭和のプロレス技で戦う。「日本の着ぐるみ怪獣など、ハリウッドのCG怪獣にかなわない」などと言うやつは、即怪獣に食われる。真夏竜の怪演、突如始まる一発芸対決は笑った。
他人には絶対お勧めできない映画だが、特撮好きとしては、河崎監督作品は嫌いになれない。
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