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2016年07月25日21:55

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プライマリーバランスという「呪縛」から脱することが出来るか

基礎的財政収支、20年度の赤字5.5兆円=内閣府試算で政府筋
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=52&from=diary&id=4110923

【金融政策は今のままだと3年以内に「強制終了」】

 7月6日、日銀が発表した2016年6月30日時点のマネタリーベースの残高は403兆9372億円だった。400兆円突破は初めてのことで、7カ月連続で更新している。

誤解の無いように先ず説明させて頂くと、マネタリーベースとは

(1)現金紙幣、コイン・・・ちなみに前者は日本銀行、後者は日本政府が発行している。

(2)日銀当座預金・・・各銀行は日銀に当座預金を持っているが、その残高の事。

 このふたつをマネタリーベースという。

 ひとことで言えば、政府・日銀の資金供給量のことを指す。

 現在、このマネタリーベースを増やしつづけている。日銀は政府の国債(日本国の国債ではない点に注意)を買い取って、年間純増80兆円に達している。結局現実には公的債務は減り続けているのだが、その一方、日銀は通貨の発行を増やしていない。ということは、日銀当座預金だけがどんどん増えていることになる。

 岩田日銀副総裁によると、なぜこのようなことをし続けるのかについて

 「物価上昇率が2.0%を越えるまで、量的緩和を止めないと日銀がコミットすることで、期待インフレ率が上がり、実質金利が下がって、設備投資が増えて、デフレ脱却出来る」

 という理論だそうである。この理論に基づいて、安倍政権は「デフレ対策」をやって来た。

 しかし現実にはどうか。

 過去3年間でマネタリーベースは250兆円も増えている。だが、コアCPI(生鮮食料品を除く消費者物価指数)は依然として、実質▲0.4%(2016年6月)。コアコアCPI(生鮮食料品と石油、ガソリンなど燃料を除いた消費者物価指数)でもやっと+0.4%。それでも実質2.0%には程遠い。

 余談だが、岩田氏は「2年で達成できなかったら、辞めます」と豪語した。が、3年経った今でも辞職していない(笑)。まあ、それはさておき・・・。

 なぜ脱却できないのだろうか?

 答えはとても簡単で、インフレとは何を意味しているのか、考えれば中学生でも分かる。

 インフレとは物やサービスの価格の上昇のことを言う。そして物やサービスの購入の合計を総需要という。総需要を拡大せずして、量的緩和をし続けているのだから、上手く行くはずが無い。勿論岩田氏とて、彼を弁護するならば、決して量的緩和だけがデフレ脱却策とは一言も言っていない。総需要を何とかしないと、とは言っていた。しかし、財務省はそうは考えていない。財務省は量的緩和をすれば、後は政府の支出削減をしようが、増税したって構わないと考えている。緊縮財政路線である。それにまんまと乗せられた安倍政権は戦後直後の混乱期以外、戦後最悪の緊縮財政となっている。緊縮財政をもっと分かりやすく書くと、国民から所得を取りあげて、政府の支出を削ったという点では戦後最大の額に上っている。

 安倍政権発足当時、安倍首相は経済・財政政策は政府と日銀の両輪で動かさないとダメだという趣旨を述べていたが、現状では政府は国債発行をろくにしていない。赤字国債は兎も角、今後少子高齢化が進むのだから、将来の人たちが人口減でも豊かさを享受し続けることが出来るようにするには、建設国債を発行して、生産性向上のためのインフラ整備と更新をしていかねばならないはずだが、それもしていない。日銀だけが量的緩和を行なっている。片輪だけで政策が上手くいくはずがないのだ。

 だから量的緩和は引き続きやり続けるしかないのだが、それもそろそろ限界に来ている。

■日本の公的債務の実高はたった196兆円!?

 銀行の国債が日銀に買われて、日本の銀行の国債が段々無くなって来ている。6月末現在で196兆円である。日銀は市中の銀行から国債を買い取っている。その金額は平均、年間で約80兆円。安倍政権が続投するとして、政策を変えようとしない場合、言い換えると、建設国債などを全く発行しないで、政府の支出抑制、公的債務の削減にまい進し続けていると、この路線を何年続けられるだろうか?

 年数をy年とすると

 196兆円=80兆円×y

 y=2.4

 2.4年しかこのような政策を続けられなくなる。日銀の金融政策は後2.4年で「強制終了」。

 多分今のままでは来年の今頃には確実に日銀の量的緩和の縮小の可能性が濃厚だ。公的債務=悪という考え方がまかり通っている昨今では理解されにくいかもしれないが、政府の借金が減ると同時に、日銀の金融政策も不毛になってしまう。これが後2.4年後におかれた日本の状況である。

 しかし参議院選挙後、ベンジャミン・バーナンキ元FRB議長が来日。安倍首相、黒田日銀総裁と会談(多分直弟子でもあり、財務省の高橋洋一氏とも会ったと予想出来る)。ここで特に安倍首相には財政政策の必要性も告げたと聞く。

 この影響からだろうか、内閣に「ヘリコプターマネー」について議論する動きが出て来た。

 【安倍首相が説明出来れば呪縛から解放出来る】

 ■日本には財政問題は存在しない

 安倍総理周辺で「ヘリコプターマネー」と言う言葉が検討され始めた。産経新聞がそのように報じた。しかし、この表現は誤解を招きかねない。市井の人であれば、

 「ああ、また給付金を撒くのかな?」

と、誤解されかねない。自分は給付金には反対だ。大抵の人は中途半端な金額ならば、貯金にしておしまいだろう。2008年、ブッシュ政権の末期に起きたリーマンショック。アメリカですら、年収で800万円相当未満の世帯に21万円相当の金額をバラ撒いている。これくらいやらなければ消費に回るはずがない。過去の給付金の金額を見ると、5万円を越えたことが無いので、アメリカほどのバラ撒きにはならず、消費よりも貯蓄に回る可能性の方が濃厚である。それならばやらない方が良い。それゆえ反対である。

 幸いなことに(?)そういう意味ではなさそうである。ではどういう意味なのか?

 日銀が国債を買い切りにして(もう市井の銀行から当分の間、国債は買いません、という意味)、建設国債などを発行するという意味らしい。その金額分、まるまる日本の公的債務は消滅する。

 日本の財政「問題」など、この程度なのである。

■選挙後の安倍政権の経済政策の中身は?

 参議院選挙。結果は自公与党の勝利となった。改選過半数の61議席を大幅に上回り、70議席となった。自民だけでも56議席となった。秋の臨時国会で、補正予算が10兆円超えとなる公算が出て来た。

 色々あるが、トピックだけ。

◆建設国債は4年ぶり

 久方ぶりに建設国債が4年ぶりに組まれることになった。このことは、安倍政権、熊本大地震が起きなかったら、インフラ整備にお金を使う気はさらさらなかったことを露呈している。プライマリーバランスについては言及していない。無視、と考えて良いだろう。とても良い傾向ではある。

◆財政投融資

 財政投融資が10兆円規模で組まれることになった。大半はJR東海行きだろう。リニア新幹線建設の為の費用に充てられると思われる。2045年大阪行きだったのを2037年に前倒しが検討された。また、北陸新幹線の新大阪への延伸にも使われるものと思われる。

 北陸新幹線の新大阪延伸の経済効果はリニア新幹線以上に大きいのではないだろうか?

◆港湾の整備

以下の数字は20フィートコンテナ換算(TEU)の千倍で計測したコンテナ輸送量ランキングである(2013年)。

 上海:33,617
 
 シンガポール:32,240

 深セン:23,280

 香港:22,352

 釜山:17,690

 ・・・

 東京:4,861

 日本で最も輸送力のある東京でも48位である。韓国の釜山にも遠く開けられている。日本の港湾の受け入れ能力など、ここまで低下しているのだ。とても先進国と言えたものではない。

 
 港湾の整備で、大型コンテナ輸送力の強化だけでなく、大型豪華客船などが入れるよう予算を組む予定である。
 
 長期プロジェクトには意義がある。給付金は一度配っておしまいだが、これらの長期プロジェクトは何年、何世代にもわたって需要がある。現在、建設・土木業界は人不足である。なぜ人手不足なのか?東京五輪が終わったら、公共事業はやらないでしょ、とこの業界の経営者たちは皆考えているからだ。そういう中で、こうしたプロジェクトを宣伝することで、政府がやる気を見せれば、社員を増やすだろうし、人材の育成などにも積極的になる。

 呪縛から解放出来るかどうかは、安倍首相と国民次第である。安倍首相が

 「日銀は政府の子会社なのだから、借金は返さなくても良いのです。連結決算で消えますから。」

 と説明出来さえすれば良い。国民も国民で、建設国債を安倍政権が折角発行しても、「何を無駄遣いしているのか」と目くじら立てて怒る者も少なくない。これは経済に不勉強なマスコミ達に刷り込まれてしまったことが大きいと思う。

 財政黒字は好景気の時にしか達成することは出来ない。ましてや経済史上増税で財政黒字を達成出来た国はひとつもない。そんなことはバブル経済期に学習しているはずではなかったのか?

 存在もしない財政問題のために、国民から所得を召し上げ、更なる不景気を招いて来たが、プライマリーバランスの黒字化という呪縛から脱することが出来れば日本経済が再浮上することも全く夢ではない。

 



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