mixiユーザー(id:58808945)

2016年07月11日14:30

638 view

日銀の金融緩和の強制終了が近づいている

バーナンキ前FRB議長、日銀を訪問
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=52&from=diary&id=4087592

 日銀の黒田総裁も、財務省の高橋洋一氏も政策的には一致している。共に金融緩和で昨今の経済動乱を乗り切れる、と思っているようだ。彼はリーマンショックというアメリカの国難の時の議長で、リーマンショック時には周囲からサンドバッグ状態で袋叩き。見ていて気の毒なほどだった。しかし、彼は「深刻なデフレに陥ったら、貨幣をバラまけば良い」と自説を展開し、当時「ヘリコプター・ベン」とまで言われた。まあ、金融政策として、これは限界をよく示しているといえる。

 日本はどうか?

 マネタリーベースを増やしているが、未だにデフレ脱却をしていない。

 7月3日、日銀が発表した2016年6月30日時点のマネタリーベースの残高は403兆9372億円だった。400兆円突破は初めてのことで、7カ月連続で更新している。

誤解の無いように先ず説明させて頂くと、マネタリーベースとは

(1)現金紙幣、コイン・・・ちなみに前者は日本銀行、後者は日本政府が発行している。

(2)日銀当座預金・・・各銀行は日銀に当座預金を持っているが、その残高の事。

 このふたつをマネタリーベースという。

 ひとことで言えば、政府・日銀の資金供給量のことを指す。

 現在、このマネタリーベースを増やしつづけている。日銀は政府の国債(日本国の国債ではない点に注意)を買い取って、年間純増80兆円に達している。結局現実には公的債務は減り続けているのだが、その一方、日銀は通貨の発行を増やしていない。ということは、日銀当座預金だけがどんどん増えていることになる。

 岩田日銀副総裁によると、なぜこのようなことをし続けるのかについて

 「物価上昇率が2.0%を越えるまで、量的緩和を止めないと日銀がコミットすることで、期待インフレ率が上がり、実質金利が下がって、設備投資が増えて、デフレ脱却出来る」

 という理論だそうである。この理論に基づいて、安倍政権は「デフレ対策」をやって来た。

 しかし現実にはどうか。

 過去3年間でマネタリーベースは250兆円も増えている。だが、コアCPI(生鮮食料品を除く消費者物価指数)は依然として、実質▲0.4%(2016年6月)。コアコアCPI(生鮮食料品と石油、ガソリンなど燃料を除いた消費者物価指数)でもやっと+0.4%。それでも実質2.0%には程遠い。

 余談だが、岩田氏は「2年で達成できなかったら、辞めます」と豪語した。が、3年経った今でも辞職していない(笑)。まあ、それはさておき・・・。

 なぜ脱却できないのだろうか?

 答えはとても簡単で、インフレとは何を意味しているのか、考えれば中学生でも分かる。

 インフレとは物やサービスの価格の上昇のことを言う。そして物やサービスの購入の合計を総需要という。総需要を拡大せずして、量的緩和をし続けているのだから、上手く行くはずが無い。勿論岩田氏とて、彼を弁護するならば、決して量的緩和だけがデフレ脱却策とは一言も言っていない。総需要を何とかしないと、とは言っていた。しかし、財務省はそうは考えていない。財務省は量的緩和をすれば、後は政府の支出削減をしようが、増税したって構わないと考えている。緊縮財政路線である。それにまんまと乗せられた安倍政権は戦後直後の混乱期以外、戦後最悪の緊縮財政となっている。緊縮財政をもっと分かりやすく書くと、国民から所得を取りあげて、政府の支出を削ったという点では戦後最大の額に上っている。

 安倍政権発足当時、安倍首相は経済・財政政策は政府と日銀の両輪で動かさないとダメだという趣旨を述べていたが、現状では政府は国債発行をろくにしていない。赤字国債は兎も角、今後少子高齢化が進むのだから、将来の人たちが人口減でも豊かさを享受し続けることが出来るようにするには、建設国債を発行して、生産性向上のためのインフラ整備と更新をしていかねばならないはずだが、それもしていない。日銀だけが量的緩和を行なっている。片輪だけで政策が上手くいくはずがないのだ。

 だから量的緩和は引き続きやり続けるしかないのだが、それもそろそろ限界に来ている。それがこのタイトルの本題。

 銀行の国債が日銀に買われて、日本の銀行の国債が段々無くなって来ている。6月末現在で196兆円である。毎年のように日銀は市中の銀行から国債を買い取っている。その金額は平均、年間で約80兆円。安倍政権が続投するとして、政策を変えようとしない場合、言い換えると、建設国債などを全く発行しないで、政府の支出抑制、公的債務の削減にまい進し続けていると、この路線を何年続けられるだろうか?

 年数をX年とすると

 196兆円=80X兆円

 X=2.4

 2.4年しかこのような政策を続けられなくなる。

 このことは日銀の金融政策は後2.4年で「強制終了」を意味している。

 多分来年の今頃には日銀の量的緩和の縮小の可能性が濃厚だ。公的債務=悪という考え方がまかり通っている昨今では理解されにくいかもしれないが、政府の借金が減ると同時に、日銀の金融政策も不毛になってしまう。これが後2.4年後におかれた日本の状況である。

 それまでに国債が無い場合、日本の経済政策が機能不全になり、政府・日銀という両輪のうち、片方が全損し、崩壊へと進む。

 果たしてバーナンキ氏が何を話したか、大変興味深い。黒田氏や彼の弟子にあたる高橋洋一氏に「もうこんな政策は3年ももたないぞ。政府はそれまでに建設国債、赤字国債を発行して国債を増やすべきだ。」と助言してくれていると信じたいところである。

 一方、参議院選で大勝利した安倍政権。建設国債発行のための言い訳を考えてくれていれば良いのだが。

 

 

5 7

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する