mixiユーザー(id:58808945)

2016年07月02日23:17

602 view

梯子をハズされる安倍政権

■米、TPP承認に暗雲=トランプ氏が離脱表明―クリントン氏も「拒否」
(時事通信社 - 07月02日 17:01)
http://news.mixi.jp/view_news.pl?media_id=4&from=diary&id=4073568

 ■アメリカのTPP推進派にまんまと乗せられた安倍政権 

 日本のマスコミは何か勘違いしているのではないのか?

 このTPP交渉を見ると加盟国4カ国以外の日本を含めた8カ国も交渉を表明しているものの、全ての国の国民が賛成している訳ではない。アメリカとて例外ではない。

 現にアメリカの大統領候補、共和党のドナルド・トランプ、民主党のバーニー・サンダース元候補もTPPには率直に批准に反対を表明している。TPP交渉を推進したい民主党のトップを走るヒラリー候補もTPPは再交渉すべきであると表明している(とりあえず、今のままでは批准出来ないということ)。

 サンダース、トランプは対立関係にあるが、2人とも大企業、大富裕層を利すだけで、中間層、中小企業の経営者と勤労者を傷めつけるだけだと表明している点では一致している。尤も共和党は伝統的に中小企業を重視する経済政策を取って来たのは確かだ。

ニューヨーク市長のビル・デブラシオはもっと辛辣だ。

 「我々は既にNAFTAという悲劇的映画を見ているではないか。あの協定で百万単位の雇用が失われた。その愚をまた繰り返すのか。」と猛反対している。

 日本のマスコミの報道は誰の差し金か知らないが、日本のマスコミの報道だけを見ていると、さも米国全土でTPPを推進しているのだなと思ってしまうが、それは大間違いなのだ。大統領候補、ニューヨーク市長ですら反対しているのがTPPである。

 ということは、この交渉はアメリカが批准せずに自然消滅する可能性が濃厚である。

 この状況下で安倍政権だけが批准したがっているのだから、愚かとしか言いようが無い。せめて米国大統領選挙が終わってからにすべきだろう。TPP推進派からすれば、安倍政権のこうしたフライング行為は最大限に利用したいに違いない。何しろこの交渉が成立したら、常任理事国は日本とアメリカしかないのだ。あの日本が批准したのだから、このまま行くしかないでしょ、と云えば一応の説得力は確かにある。

 しかしながら大統領候補が悉く乗り気ではない以上、安倍政権はこうしたグループにまんまと良いように利用されただけである。

 

 ■日本がいないとアメリカにとって旨みゼロのTPP■

 

 次の数字をご覧頂きたい。参加12カ国のうち、上位5カ国のGDPである(数字はIMF、内閣府より2013年の米ドル換算に合わせた)。


アメリカ・・・58.8%

日本・・・22.5%

カナダ・・・6.2%

オーストラリア・・・4.5%

メキシコ・・・4.1%

 である。日本が抜けたらどうなるのか?

 アメリカだけで何と75.9%に達する。

 つまり日本がいないとアメリカは何の利益も得られない経済協定なのだ。
 
 日本の外交は「国家機密」にしたくなるほど無残極まりないほどだが(苦笑)、日本のTPP交渉も例外なく拙劣だ。実際、兎に角妥結が目的としか思えないほどだ。安倍政権は騙されても利用したいらしいが、どだい安倍氏が総理をしている間、効果は絶対に出ない。効果が出るのはせいぜい30年後である。30年間も総理をしているのだろうか(笑)?

 個人的には安倍氏のようなデフレ期にインフレ対策という頓珍漢な経済政策を行なう政治家には早々に退場願いたいと思っている。バブル崩壊後からのデフレの慢性化の原因の大半はこれである。この経済無策でどれだけ庶民の所得が毀損し、貧困化を招いたか今の内閣は分かっていない。

 もうここまで来たならば引き返せない(私は引き返せると思っているが)と云い張るならば、せめて脱退をちらつかせてアメリカから譲歩を引き出すべきではないだろうか?

 アメリカにしてみれば、どんなに日本に強硬に迫っても、所詮日本がいないと何のメリットも無い経済協定なのは統計からも明らかだからだ。

 
 ■ISD条項

 

 再三、あちこちでこの交渉が問題になっているのはISD条項だ、とよく言われる。ISD条項とは何かというと、「投資した外国企業がその国の政策によって不利益を被った際、相手国の政府を世界銀行傘下の国際投資紛争センターに訴えることが出来る」というものだ。何しろ相手は訴訟大国のアメリカである。経済はズブの素人でも、口げんかだけはプロが揃いに揃っているのだ。果たして公平な裁判がおこなわれると誰が断言出来るだろうか?NAFTAではISD条項によって勝利した企業は米国だけ。カナダ、メキシコの企業もアメリカ政府を訴えているものの、一度も勝利したことが無い。ましてや世界銀行はアメリカの息の掛かった人間が多数いるのだ。

 今から5年ほど前、東日本大震災の傷が癒えない時期に興味深い事件が韓国で発生している。2011年11月23日、韓国・ソウルでは米韓FTA批准案を強行採決した李明博政権に対して、警官隊の衝突まで起きるほどの混乱となった。庶民の反発は何も強行採決しただけではない。FTAの中にこの厄介なISD条項があることを李明博元大統領は知らせなかった。それに庶民は

「何だ、これは!!」

と激怒したのである。

 それに引き換え日本は呑気なものである。野田前総理はあろうことか、
 
「ISD条項を知らなかった」

 とのたまう始末だ。韓国はそれで政権が吹き飛んだというのに。韓国には元々パクリ気質があるのは有名だが、口げんかが得意なアメリカの弁護士達によって、これからむしられ放題となるのは目に見えている。既にサムスン電子は全世界から3800件も訴えられている。ISD条項で韓国はますますグローバル経済にビルドインされ、窮地に立たされるのは容易に予想がつく。

 
 ■マスコミの経済報道のイイ加減さ

 
 日本のグローバル経済礼讃者達は韓国の米韓FTAを評価し、韓国経済に見習えとまで言い切った者もいた。しかし現状は韓国がウォン安政策をとればとるほど、日本から高い資本財を買わざるを得ず、サムスンがお得意のスマートフォンを作らねば稼げないようになっている。サムスンが稼げば稼ぐほど、日本の対韓貿易黒字が膨らむ構造になっている。いわば日本にとって、サムスンは「鵜飼の烏」なのだ。例えばサムスンは日本の日立化成のレアガスを使わねば得意のスマホを作ることは出来ない。李明博はこれではいけないと思い、韓国で資本財を製造しようと躍起になったが、長続きしなかった。

 しかしそういう日本国内のグローバリスト人達が日本経済の強さを理解せず、マスコミも彼らの意見に疑義を呈すこと無く、TPP参加について

「日本が入らねば世界の孤児になる」

とまで言い切った。日本が鎖国しているとでも言うのだろうか?(笑)

マスコミの報道では良く日本は貿易立国です、と言うが、日本の貿易依存度はどの程度なのだろう?

 GDPが5千億ドル以上の国でGDPに占める財輸出額の割合を列挙した。

 アメリカ・・・7.6%

 日本・・・10.7%

 韓国・・・44.9%

 ちなみに日本はアメリカに次いで2番目に低く、韓国より高いのはオランダだけで53.1%となる。日本の絶対額は決して小さくは無いだろう。去年のGDPは491兆円もあったのだから。しかしマスコミが言うほど貿易立国などではない。わざわざしゃかきになって経済連携協定に飛び付かなくても生きていけるのが現実である。

 日本のグローバリストをTPP推進に煽ることとなった米韓FTAのその内情とやらはこの程度のものだったのである。
 
 サブタイトルにあるように、当のアメリカ大統領候補達が悉くTPPから脱退すべきだと主張しているか最低でも再交渉すべきと言っている以上、この協定はフィニッシュする可能性が濃厚だ。今や安倍政権だけがひとりで熱を揚げている、これが現実のようである。
 


11 6

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する