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2016年06月27日12:18

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6/26 フランスの風景 樹をめぐる物語@損保ジャパン日本興亜美術館 他

チケットのある展覧会が二つ、会期が本日まで、と言う事で、友人知人の展示会、写真展にも顔を出したかったのですが、こちらを優先させました。今月は絶不調で計画的に動けなかったのが残念。

フランスの風景 樹をめぐる物語 コローからモネ、ピサロ、マティスまで
フォト 
http://www.sjnk-museum.org/program/current/3729.html
フォト
「樹木」というモティーフを通して、印象派を中心とするフランス近代風景画の進展を探る展覧会です。
本展覧会はロマン派やバルビゾン派にはじまり、印象派を経てフォーヴまで、「樹木」が風景画の展開にどのような役割を果たしてきたのかを展覧します。絵画の独立した主題として樹木を描き、樹木を介した光と影を追求し、その色や形を絵画の要素としてとらえた画家たちが、「樹木」をどのように描いてきたのか、フランスを中心とする国内外の美術館、ならびに個人所蔵作品から樹木に対する画家たちの想いが込められた作品約110点を展示し、その変遷をたどります。

第1章 戸外制作の画家たち
第2章 印象派の画家たちと同時代の風景画
第3章 ポスト印象主義と20世紀前衛芸術への試み

「樹木」をどのように描いてきたかを見ながら近現代の美術史をたどるというコンセプトはなかなか面白いですが、あっという驚きもなく、正直、地味すぎてぱっとしない展覧会でした。

まずは、これまで宗教画などの背景でしかなかった風景を単独で芸術に押し上げたバルビゾン派などの紹介。その中で、樹木はピクチャレスクな画面構成をするための重要なアイテムだと言う事がわかります。
カミーユ・コロー《エトルタ近くの風景》フォト
初見の画家も多く、小説家のジョルジュ・サンドの絵もありました。

次に印象派の登場。樹木は、季節の移ろいを表し、光を集める格好のアイテム。葉の重なりが光に煌めき、木漏れ日を作ります。これまでの絵画にはなかった筆触を残す描き方にもぴったりですね。
カミーユ・ピサロ《マトゥランの丘にて、ポントワーズ》フォト

リュシアン・ピサロ《りんごの収穫》フォト
ピサロの長男です、挿絵画家。

フェリックス・ピサロ《散歩、公園の母と娘》フォト
ピサロの3男

ピサロ4男の絵もあって、これらはポントワーズにある「カミーユ・ピサロ美術館」から借り受けたもの。ピサロは印象派の代表的画家ですが、一寸物足りないな。
画像はありませんが、ジョルジュ・タルディフという画家の流れるようなタッチと色が気に入いりました。
あと、ポール・ガシェのエッチング《オーヴェール=シュル=オワーズの洪水》、マット紙に割り印が押してありましたが、それが猫の顔なので妙に気になりました。どういう経緯のものだろう。

ルイ・アイエ《街路、夜景》フォト

1890年以降の、象徴主義、フォーヴィズム、ドイツ表現主義では、その存在がもっと内面的なものになっているような気がします。うねったり、踊ったり、伸びたり、木に力強い生命が込められ、時に幻想的な効果をもたらしています。

ロベール・アントワーヌ・パンション《道、雪の効果》フォト
色遣いがいいですね

モーリス・ドニ《小さなブルターニュの女性たち、沼のほとり》フォト

シャルル・ラコスト《ベアルンの風景、大木》フォト

オトン・フリエス《オンフルール近郊》フォト
この辺りになってくると、コワイ夢に出てくるうごめく木を思い出します。


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久米桂一郎へのオマージュ@久米美術館

http://www.kume-museum.com/exhibition.html#exhibition1

明治29年(1896)、東京美術学校(現・芸大)に新設された西洋画科で美術解剖学やフランス語を教授した久米桂一郎。
久米の生誕150年を記念し、久米の作品・画学生への指導を伝える資料と、教え子有志による寄贈作品(絵画・彫刻)を併せて展示いたします。

目黒駅前にあるビルのワンフロア。中村屋サロンよりも小さい。美術館と言うより資料室のような感じ。私のように新聞屋さんからチケットをもらっただろう人が数人いました。

久米桂一郎は、黒田清輝と盟友、共にフランスへ留学し、帰国後は東京美術学校の教授として日本の西洋画発展のために尽力した人。このことは黒田清輝展で詳しく勉強しましたが、久米桂一郎側からの資料もまた興味深かったです。そして、彼の絵もコランについて真面目に勉強したらしくて、充分に上手。でも、自分は画家として画壇を牽引するよりも事務方として西洋画界を発展たらしめる方が向いていると判断したんでしょうね。黒田清輝の才能をいち早く見抜いていて、自分はかなわないと、彼をサポートする道を選んだのかしら。いろいろ想像してしまいます。
面白かったのは、留学での経験を踏まえて、美術解剖学を重んじたところ。帝大から屍体を借り受けて、解剖してもらい、授業で使ったそうな。それに先んじて、森鴎外も担当したとのこと。授業の後ご飯が喉を通らなかった学生たちも大変ですね(笑)
また、黒田清輝の裸体画が非難に晒された時、人体の美はすべての美の根源ゆえ裸体は美術の基礎だと擁護しています。その時「美術は工芸と違って哲学的意味を含む」とも言っているのが興味深いです。
わざわざ観に行く美術館ではないけれど、今年黒田清輝展があったのでタイムリーでした。

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