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2016年05月28日22:00

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ブックカーニバルinカマクラ

 朝の散歩と朝食のあと、段ボールのサイズに合うよう蔵書をプチプチで一冊ずつ梱包して詰めた。一部の本については、「表紙は私が受け取った時点からありませんでした」「綴じ糸が劣化しているのでご注意ください」等々、注釈書きを付け、さらに天地が逆さまになっても本が動かないよう、隙間にクッション材を入れたりしていると、1時間があっと言う間に過ぎてしまった。
 クロネコヤマトの営業所へ行って料金を支払ったところでほっとひと息ついた。
 これで気分明るく「ブックカーニバルin カマクラ2016」に行ける。地方の小出版社が対面即売をしたり、トークショーが開かれたり、古本市もある。昨年は出典ブースで売られていたミニコミ誌は一冊ずつだが全部買った。今年は小出版社の即売がなくて、30数人がそれぞれ本を売る、というのがメインだ。
 たとえば「北極書店」、説明文は以下の通りだ。
<店舗を持たない放浪の書店です。ワケありのお宅に伺い引き取った書籍をそっとまた誰かの書架に届けます。店主の実像は靄の中>(原文ママ)
 enというひとは要約すると、こんな活動。
「今回の古本はもらいものだったり、誰かが読んだしたもの。だから、読み終わった本はあなたのお知り合い、もしくは知らない方にお渡しして欲しいのです。enは日本語の縁です。縁によって世界は成り立ってます。だれかとモノを交換する、モノを自分の所有から手放す。そんな関わり合いをしたくて参加します」
 なんだか愉快ではないか。
 北極書店の主催者は40歳代の美人だった。なんとなく本人自身がワケあり風。
 enは30歳ちょっと前の男性で、喋ってみたら好青年だった。
 総じて出展者全員が悪く言うとビンボー臭く、昭和の食い詰めた大学院生みたいな温和しさがあって、本好きというのはいつの時代にあっても落ちこぼれにも見える。うちの近所には誰でもが知る超メジャーな作家がお住まいで、ときどき道ですれ違うが、本の読み過ぎなのか心ここに在らずという、魂が抜けたような顔で歩いていらっしゃる。上京する際には着替えるだろうが、普段は30年前の渋谷系というビンボーファッションだ。高級マンション住まいには見えず、ビンボーな初老だ。
「ikko文庫」さんは今日のためにわざわざ仙台からカマクラにやって来て、古本を売っていた。「昨年のたくさんの思い出が忘れられず今年も参戦」とあった。ここで私は古雑誌を買ったのだが、たった200円のお買い物で、おまけを渡された。今日のためだけに自分で手作りした「一個文庫 凮月堂号」という文庫で、まだ読んではいないけれど仙台と東京を比較対照しながら個人的考察をしている模様。こういう酔狂な若い文学好きって、無条件に好きだ。
 2会場それぞれ30分ずつ見て回ったが、いや〜、いい時間と人に出会えた。
 うちに帰って、明日からの旅行準備をし、ひと息ついたあとにクルマを洗うことに決めた。その理由は、きれいなボディだと交通事故を起こす確率が減るかな、というへんな思い込み。小心者だ(笑)。
 1時間半くらいだらだらとクルマを触った。
 で、休む間もなくラズリの散歩。
 今日は生きててとても愉しい。
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