ラズリを抱えて病院へ

　普段から時々使っているのは『なるほど知図帳2012日本』という部厚い地図で、2012年度版なのでトップの特集記事には東日本大震災や全国原発マップなどなど、震災を念頭に置いた編集になっている。
　昨日になってブックスタンドから地図帳を引き出し、熊本県の地図を眺めた。各県が見開き単位で載っているので、縮尺も比較的大きい（47万分の1）。熊本駅と阿蘇くまもと空港と益城町の位置関係や距離がわかった。益城町は熊本駅から直線距離にして20キロ、阿蘇山までは40キロ。阿蘇に隣接してあの高千穂が陸続しているのか。一度も訪ねたことがない県なので、まったくと言っていいほど土地鑑がない。
　
　朝ごはん後、手紙を書いた。せっかちなのとストレスになるのがいやなので、封をしたらすぐに投函しに行く。ポストに入れた時点でようやく一連の作業が完結する。ひとつ用事が済むたび30分くらいほっとして緩んでしまう。昔から作業効率が悪い人間だ。
　今日はラズリと連れて獣医に行く日と決めている。午後2時前、尿検査のためにラズリを抱いて動物病院へ。途中ラズリを抱えたまま道路脇にへたり込んでいたら、道行くお年寄りから怪訝な顔をされたので事情を説明した。話す必要もないのだが（笑）。
　エコー検査でやっぱり膀胱に7ミリ大の腫瘍があることが明らかになった。前々回の検査から同じ箇所で同じ大きさのポリープがあって、これで今後も3週間おきに連れて行ってとりあえず経過を見る。現在のところ開腹するまでには至らぬ症状だが、これから先の事態で検討していくということとなった。良性であればあまり心配も要らないらしい。
　帰りはごく普通の散歩だ。陣取り合戦よろしく、ラズリはあっちこっちでおしっこのマーキングをしていた。

　YouTubeトップでのおすすめで西岡恭蔵の歌があった。ときどき昔のフォークも聴いているので、その関連だろう。
　初めて聴いた「ジプシーソング」がよかったので、西岡恭蔵で検索したら、2番目に「西岡恭蔵＆ KURO 追悼コンサート」というタイトルの動画があった。えっ、追悼ってなに？
　Googleで検索してみたら、西岡さんは99年4月3日に亡くなられていた。死因は自殺だった。私はその頃、毎日どんなふうに生きていたんだろう。仕事と、仕事に関連することだけに興味があって、それ以外の事象に関心をあまり示していなかった。よく言えば仕事人間だが、これは日本人に限っての「褒め言葉」であって、人間としてはいっぱいいっぱいの貧しい性格でしかない。滅私奉公なんて、それが国であれ会社であれ、恥ずかしい自己喪失だ。西岡さんは「プカプカ」のヒット曲から、お気楽そうなイメージだった。それだけに、意外だった。