池島ゆたか祭り

　今年最後の上野オークラは、「おやじ男優Ｚ」の東京凱旋上映の池島ゆたか祭り。２本目の９９年作品「痴漢教師３　制服の匂い」（原題『裸の学校』）から見る。私もエキストラ出演していて、そのため初号で見て以来。１６年前の自分など見たくもないが、そこに目をつぶれば、いきなり死体が転がる冒頭からのサスペンス描写の切れで最後まで目が離せない。
　シリーズ初の善人役なかみつせいじさんの好演、初々しい里見瑤子さん、千葉誠樹さんのサイコ演技もいい。今見ても面白く、再見に耐える作品。そして当時のエキストラやスタッフの皆さんも懐かしい。今でも付き合いのある人や、映画業界で活躍している人も大勢のいるが、ずっと会っていない人もいる。今どうしているのだろうか。
　そして「おやじ男優Ｚ」。これで３回目だが、やはり気持ちが揺さぶられ、初回と同じように見た。なかみつせいじさんの自らのキャリアをぶつけたような主役振り。ユーロスペースで上映された時は、普段ピンク映画を見ない人を連れて行ったのだが、なかみつさんの素晴らしさには感動していた。今日はなかみつせいじ祭りでもある。
　そしてピンク映画オールスターキャストも、うきうきした気分にさせられる。夏目ゆりあは去年のベストガール。私が３回見た映画は「アラビアのロレンス」のみ。この映画も繰り返し見たい作品だ。
　その後イベントだが、その前に上野オークラ２代目マスコットガールの発表の映像が流れるが、なんと朝倉ことみさん。これも意外だが、これまでのイベントでの受け答えを見ると、さすがプロフェッショナルでそつがない。宇宙人ゆずとは違った司会アシスタントになるだろう。
　そして場内が暗くなり、倖田李梨さんの電飾を使ったパフォーマンスが始まる。いきなりすごいものを見た。そしておやじ男優３人による「雨上がりの夜空に」。なかみつさんはＺパンツ一丁。そしてＺパンダも登場するが、今日は３人いる。北海道から駆けつけてくれた女性２人だ。
　その後は李梨さん司会で進行。牧村耕次さん、竹本泰志さん、野村貴浩さん、吉行由実さん、樹カズさん、津田篤さん、松井理子さん、那波隆史さん、有末剛さん、沢村麻耶さん、五代暁子さん、池島ゆたか監督が登壇。これだけの人が登場するのは初めてだろう。豪華だ。
　さらに同時上映作に出演の里見瑤子さん、酒井あずささんも登場。そして世志男さんが、劇中キャラの熊さんで現れ、なかみつさんと寸劇。熊さんスピンオフ映画実現してほしいな。
　なかみつさんの挨拶がよかった。この映画はピンク映画の力が一般の目に触れた作品なのだ。おかげで墓の人のコメントが以下同文になってしまった。そしてヒロインのエピソードは、日高ゆりあさんの体験が基になっているそうだ。あの貧困と、ハチ公前での万歳三唱は実話だった。
　最後の大きなトロフィーの芝居は苦笑。終了後恒例のサイン会だが、初の男優サイン会となる。
なかみつさんにまきむらさん、竹本さんに加え、世志男さんに五代暁子さん、池島ゆたか監督にただ一人の女優松井理子さん。松井さんはスタッフとして参加かも。監督はともかく、男優さんのサインは貴重。女優サイン会に劣らぬ長い列ができる。
　今日は一般映画の上映など、いつもと違ったイベントとなった。賑やかで、サービス精神もあり、今年最後を締めるにふさわしい楽しいイベントだった。