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2015年12月23日22:30

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今週のオークラ

 仕事のため上野オークライベントには参加できず、城定秀夫監督の新作「悦楽交差点 オンナの裏に出会うとき」のみを見る。歩行者をバイトをしている男。「100人目は俺の嫁」とつぶやいている。そして100人目の女が通りかかる。いきなり5年後、工場勤めとなった男は、上司とか会話から、結婚しているらしい。100人目の女と結婚したのか、と思ったら、部屋の壁はあの女の写真で溢れる。そして双眼鏡で覗いているのは、向かいの家に住むあの女。なんとストーカーなのだ。
 このテンポよく見せる冒頭でつかまれる。男は除くだけでなく、女のゴミを漁り、さらに外出すると尾行して、詳細なノートまでつけて、夫の昇進まで家庭の状態を把握している。AVスカウトマンらしき男が、女に話しかけると、自分の実力も考えず殴りかかったり、方向性は全く違うが、これらの場面は歴代城定映画の主人公が、ひたむきに努力する様を思い出した。
 旧知の風俗嬢、と言うか立ちんぼしている女は、「ど根性だね」と言われたり、単なるストーカーとしては見られなくなってくる。そして中盤、驚愕の場面をきっかけに、視点が女に移る。そこからは、同じ場面を女の視点で描く。「霧島、部活やめるってよ」や、遥かな先駆である「現金に体を張れ」の手法だ。
 ここでわかる女の心情、細かいところが繋がってくる面白さ。専業主婦を「おいしい仕事」とするのは、いかにも今風。演技を続ける女だが、夫の浮気相手からのプレッシャーなどで疲れている感じ。夫とのセックスの後、「つまんねえ」と口走ってしまうのはどきりとさせられた。
 女が酔って男の部屋に入ってくる場面は、見下しているようで、楽しげな本音が出ているように見える。それから加虐と被虐の共犯が成立する説得力がある。
 最後はストーカーの末路のようだが、全力疾走する男には、突き抜けたものが感じられる。男の最大の理解者であろう風俗嬢も応援しているし、私も同じ気分になった。やはり男は城定映画の主人公なのだ。
 主演の古川いおりさんは初めて見るが、女の二面性をきっちり演じている。主演の男も知らない俳優だが、実にいい顔だし、気持ちの入る演技で素晴らしい。佐倉萌さんの陽性のセックスワーカーは、最近なかった役柄で、こちらも好演。城定秀夫監督は初のOP映画を傑作で飾った。
 
 
 
 
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