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2015年12月21日21:28

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独立電影

 毎年恒例の中国インディペンデント映画祭を、今年もポレポレ東中野へ見に行く。検閲を通していない作品群であり、本国ではまもとに公開されることはないが、意外な表現があったりして面白い。
 今年見たのは「シャドウデイズ」。警察に追われた若い男女が、町長の叔父を頼って雲南省の田舎町にやってくる。叔父は一人っ子政策に違反する家族を摘発している。青年はそれを手伝うが、権力を与えられると、次第にサディスティックに変貌してゆき、彼女ともうまくいかなくなる。そんな彼らの前に、幽霊が現れる。
 幽霊はさりげなく現れ、消える。あまりにあっさりとしていて、特撮も稚拙なので、これは観客を怖がらせるためではない。町長は、赤ん坊の幽霊に悩まされ、町の人々は、町長を避ける。ラスト近くに登場する幽霊は、首に「反革命分子」と書かれた札を下げている。幽霊は、国策の犠牲になった人間の象徴だろう。
 幽霊のような非科学的なものは、検閲を通らないだろう。さらに政策批判とも取れるし、本国では上映不可能。しかし苦いラストまで、見ごたえがあった。
 「江城の夏」は、ワン・チャオ監督06年の作品で、カンヌ映画祭でも受賞。田舎町の教師が、重病の母親に会わせるため、行方不明の息子を探しに、武漢へやってくる。現地に住む娘の家に落ち着き、親切な老警官の協力を得て、息子を探す。
 映画はその過程と、娘の生活を並行して見せる。娘はナイトクラブに勤め、社長と付き合っている。社長は恐らく妻子があるのだろう。さらにルームメイトと買春まがいのこともしている。貧困ゆえだろう。兄が消息を断った原因も、社長の過去も、貧しさから脱するためではないか。
 父親は都会の大学を出ているが、40年前「ある発言のため、田舎へ追いやられた」と語る。時代からして文革だろうか。やはり中国の負の面を引きずる人物だ。
 日本での上映は、本国と結末の違ったカンヌ版らしい。後半、秘密を抱えた娘と社長は、悲劇へと向かう。希望のないラストは、かなりこたえるのだが、本国のラストはどうなっているのだろうか。
 
 
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