mixiユーザー(id:3696995)

2015年07月27日21:40

364 view

気は優しくて力持ち

大相撲の旭天鵬が引退を決めた。
昨日終わった名古屋場所が3勝12敗という成績で、十両落ちが確実になっていた。
かねてから十両に落ちたら相撲を取らないと公言していただけに自ら二言はないことを示す引退だったとも言える。十両で取れないこともなかったろう。
それが彼の美学なのだろうから仕方あるまい。
かつて彼は、十両に落ちてまで取れないということではなく、十両はこれから上に行こうという激しい競争の世界だから、もうそこでは取れないんだよ、というようなことを言っていた。
確かにそれもあるだろうが、幕内最高優勝力士が十両で取るわけにはいかないというプライドもあったろう。優勝を味わったからこそ優勝の重みを感じていたに違いない。

数々の記録を作った名力士だ。
優勝も経験した。関脇まで出世し、三賞もたくさん取り、金星も獲得した。
後輩から慕われる人格者でもあり、サービスたっぷりに取材に応じる姿は誰からも好かれた。
モンゴルからやってきた第一期生。同期の旭鷲山とともに今のモンゴル出身力士の隆盛の基礎を築いた人である。
均整の取れた体と柔和な表情。気は優しくて力持ち、そんな力士だった。

無事これ名馬、そんな力士でもあった。
大きなケガがなく、毎日の努力を怠らず、だからこそ40歳を超えても幕内力士で居ることができた。
格闘技の世界ではやはり異例と言えよう。

名古屋場所は初日から4連敗した時点でいよいよかなという気がしていた。
そう遠くないうちにその日が来るであろうことはわかってはいた。ここ数場所はこれが最後になるかもしれない、という思いで星取表を気にしていた。
悔いがないということはないだろう。やり残したことも多いに違いない。
しかし、彼の実績は誇るべきものであるし、記録にも記憶にも残る名力士であったことは間違いない。

きっといい弟子を育ててくれることだろう。

そしてもう一人、旭天鵬と同期の若の里も引退ということになりそうだ。
まだ明言はしていないが、幕下陥落が決定的なためおそらく引退することになるだろう。
ケガさえなければ大関になっていただろう。横綱まで行けたかもしれない。
全盛期は強かった。
そんな大関候補が十両で取るのはしんどかったろう。それ以上に相撲が好きだったのだろう。
若の里もまた気は優しくて力持ちというタイプの力士だった。

味のある力士たちが土俵を去る。
時代の流れとはいえ、やはり淋しいものである。
2 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する