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2015年01月27日19:33

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「バンクーバーの朝日」@TOHOシネマズ渋谷

2009年の「川の底からこんにちは」映画以来、ずーっと好きハートで観続けている石井裕也監督の最新作。野球野球がテーマということで、男優陣も多彩。脇を固めるメンバーもまあすごいことexclamation「ぼくたちの家族」も一緒に行った友達とやっと予定が合って行って来たーわーい(嬉しい顔)

1900年代初頭、多くの日本人が新天地での成功を夢見てカナダへと渡った。しかし、そこに待っていたのは容赦ない差別と低賃金による過酷な肉体労働だった。貧困にあえぐ日系移民の人々は、その日を生きるのに精一杯で、夢や希望を抱くこともできぬまま、塗炭の苦しみを味わい続けていた。そんな中、移民二世のレジー笠原(妻夫木聡)は仲間を集めて日本人野球チーム"バンクーバー朝日"を結成する。最初は白人チーム相手に体力的にまるで歯が立たず、皆からバカにされるレジーたちだったが…。

1914年〜1941年まで実在したカナダ、バンクーバーの日系移民の野球チームを描いた人間ドラマ。日本人街ができるほど多くの日本人がカナダに移民していたことも、日本人の野球チームがあったことも今回の映画で初めて知った。一攫千金ドル袋を夢見た彼らが受けた差別や低賃金での過酷な労働という厳しい現実に胸が詰まったが、こういった状況下において、スポーツの力はやはり大きいのだな、と改めて感じた。

オリンピックやらワールドカップやらで突如母国愛全開で応援し、ワーワー騒ぐ風潮に違和感があるし、割と冷めた目でみてしまうタイプあせあせ日本人選手が活躍したことによって"勇気や元気をもらいました"みたいなのも正直ピンとこない。だけど、この朝日軍のメンバーが野球によって繋がり、それを生きがいに頑張っていたのも伝わったし、周りの日系移民たちに与えた活力は本物だったんじゃないか、と素直に思えた。

見どころのひとつは間違いなく、日本人街を再現した巨大オープンセット。建物や街灯や看板のひとつひとつもとても凝っていて細部まで抜かりなく、スケールの大きさと完成度の高さに圧倒されたexclamation ×2朝日軍メンバーが常連のカフェもすご味があっておしゃれ。ファッションも違和感なく、当時はこんな雰囲気だったんだろうなぁと思わせる。美術や衣装のクオリティの高さはきっと賞をもらうんじゃないかな。

そして、役者陣の豪華さが半端ないっダッシュ(走り出す様)主演の妻夫木くん以下、朝日軍の主要メンバーはロイ(亀梨和也)、ケイ(勝地涼)、トム(上地雄輔)、フランク(池松壮亮)。レジーの妹(高畑充希)、日本語学校の教師(宮崎あおい)、トムの妻(貫地谷しほり)、トムの父で豆腐店店主(岩松了)、豆腐店の向かいでタクシー業を営む(ユースケ・サンタマリア)、娼婦(本庄まなみ)、日本人会会長(大杉漣)、カフェの店主(田口トモロヲ)、カフェの常連で写真館店主(徳井優)と理髪店店主(大鷹明良)、レジーの父の友人(光石研)、朝日軍の監督(鶴見辰吾)、レジーの父と母(佐藤浩市、石田えり)といったメンバー。特に佐藤さん、石田さんがいぶし銀の演技で作品をビシッと締めてくれている。

朝日軍が体格やパワーでは到底かなわないカナダ人を相手に、小柄で俊敏な特性を活かしてバントやヒットエンドランなど頭脳プレーで翻弄し、勝利していく様は痛快。そんな中で忍び寄る戦争の影。あまりにも唐突で切ない幕切れに言葉を失った。レジーの「またいつか野球やろうな」という言葉がただただ悲しかった泣き顔

結構泣くんじゃないかと心配してハンカチ2枚持って行ったけど(笑)、うるうる程度で必要なかった。そこがまあちょっと想像と違ったかなぁ。でも、泣かせようという過剰演出がなかったとも取れる。そこに物足りなさを感じる人もいるだろうし、慎ましく品がいいとも言えるかも。
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