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2015年01月21日23:43

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余命90分の男

 ヒューマントラストシネマ渋谷でフィル・アルデン・ロビンソン監督「余命90分の男」を見る。ロビン・ウイリアムス演じる主人公の弁護士は常に周囲に苛立ち、さっそく車をぶつけてきたウズベキスタン人に、差別的悪態をつく。同時にミラ・クルス演じる女医が描かれる。患者からプレッシャーに薬に手を出し、猫が死んだことで心が折れかかっている。不倫相手の医者から回されてきた患者が主人公。
 主人公は脳動脈瘤なのだが、怒鳴り散らされたことで、女医は余命90分と宣告してしまう。病院を飛び出す主人公。訴えられることを避けるため、女医は主人公を追う。
 2人が自らの声で(たぶん)、三人称で心情を語るのは、加藤義一監督「ヒロ子とヒロシ」。ロビンソン監督が日本のピンク映画を見ているとは思えないが、こちらも転落と再生の話だ。
 主人公は仲たがいした家族とよりを戻そうとしたり、昔の友達をパーティに呼ぶが、うまくいかない。間に回想シーンが入り、主人公が優しい家庭人から今のようになっていくさまを見せる。これが絶妙。息子が父の作った古い名刺を持っている細かい描写もいい。
 ウイリアムス主演なので、これまでの役柄の残像もあり、心情の変化もすんなり受け入れられる。マシンガントークの悪態も芸に思える。そして電器店でのやり取りは爆笑。
 女医も医者としての責任感を取り戻していく。ブルックリン橋からの2人の行動は爽快。ラストも気持ちがいいのだが、ここで否応なくウイリアムスがもはや亡いことを思い出す。あの最期を知っていると、別の切なさがある。
 「未公開ゾーンの映画たち」での上映で、この企画は思わぬ拾い物がある。この作品もそう。しかしロビンソン監督にウイリアムス主演。この枠ではもったいない。
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