下北沢の「劇」小劇場でSPIRAL MOON「翡翠の抄」を見る。学生時代のタイムカプセルを掘り出す男女。ほのぼのとした場面から一転、源氏と平氏の争いへ。現代と平安時代を交互に見せるうち、男女は源平の一族や家臣の転生と分かる。
いつもの静謐で不思議な話と違い、チャンバラが多い。そして上演時間も長め。これまでとは違った芝居にチャレンジしたのだろう。ただやや混乱気味で、物語に乗れないところがある。両方の時代に現れる謎の男は、五条で弁慶と一騎打ちするので義経であろう。思わせぶりなのだが、意図が見えない。転生した武将たちも、平宗盛以外はあたふたするばかり。源氏家臣の忠誠心も苦手だ。
それでも、時折入る仲の良かった学生時代の男女の話は切ない。そして憎悪の連鎖を断ち切るテーマも今日的で良し。この劇団にしては不満もあるが、いい場面もあり、楽しめた。
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