８分間

　座・高円寺で燐光群「８分間」を見る。小さな駅のホーム。女性が足を電車とホームの間に挟まれている。乗客たちや乗務員は助けようとするなかなかうまくいかない。そこに痴漢騒ぎが起きたりするが、１人が反対ホームに来た電車に飛び込もうとする。ここまでが８分で、暗転。すると再び最初の場面に戻る。同じセリフが繰り返されるが、乗客の１人は前の場面の記憶がある。
　この男が「オール・ユー・ニード・イズ・キル」のごとくタイムリープをしている。この劇団初のSFではないか。もちろん宇宙人の侵略ではないが、男が行動を変えるので、８分間の内容が変わってくる。しかし自殺を止められない。その間に乗客たちの背景が見えてくる。人間ドラマになってくるのだ。
痴漢騒動も意外な方向へ。
　最後にわかる自殺する男と助けようとする男の意外な関係。そして話は電車が止まったあの日に回帰する。これは面白かった。SFだけでなく、群舞があったりと異色作。いつもの社会的内容とは違っているが、楽しめた。