mixiユーザー(id:12569023)

2014年11月23日14:11

54 view

随筆「甦る楫取素彦」第148回

楫取の下にある役人が議員に対し、前記のような見下す態度や、高圧的発言を行うことは、県令の姿勢と無縁ではないだろう。名県令といわれた楫取にも、当時の天皇の役人としてこのような一面があったのかもしれない。
前置きが長くなった。この建議は初めから波乱が予想された。
二一番(岡田三郎)
「今まで国の金で払ってきた給料を物好きにも地方税で支払い、地方官を民選にするなど、人民が希望しないことであり、議員も依託外のことである。だからこの議会で建議として容認することには反対である。」
三八番(星野耕作)
「このような建議はこの議場で決して議すべきではない。なぜなら、地方長官を民選にするというようなことは群馬県に限って施行できることでないのは当然である。たとい、建議書に我が群馬県に限ることをはっきり書いたとしても、府県会規則第七条の範囲を超えるからである。我々議員は法律の範囲内でその職権を執行すべきであり、この建議は、我々の正当な職分ではない」
 ここで番外増田が発言する。番外とは役人のことである。
番外増田
「この建議については、番外が敢えて口をはさむところではないが少し意見を述べたい」と前置きして、「法律によって組織された地方議会は、法律に従って正当の職分を尽くさねばならない。府県会規則7条はその府県内の利害に関することにつき内務卿に建議できると定める。それは、県令が県内で執行でき、かつ県内の利害に関する事について建議できるという意味である。今14番等が提出した建議は日本全国の利害に関わることだから大政(中央政府のこと)に関するものであって議会の提案として建議できるものではないのです」

※土日祝日は中村紀雄著「甦る楫取素彦」を連載しています。

0 0

コメント

mixiユーザー

ログインしてコメントを確認・投稿する

<2014年11月>
      1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30